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『週刊ダイヤモンド』特別レポート

国立競技場、B案も工期短縮は可能だった――建築家・伊東豊雄氏に聞く

週刊ダイヤモンド編集部
2016年1月22日
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昨年12月22日、国立競技場の建て替え案が公表された。選ばれたのは、建築家の隈研吾氏と梓設計、大成建設が提案したA案で、伊東氏と日本設計、竹中工務店、清水建設、大林組のB案は僅差で敗れた。だがA案に対しては、白紙撤回された計画を提案したイギリス在住の建築家ザハ・ハディド氏が自身の計画案と「酷似している」と指摘し法的措置の検討を表明。伊東氏は、審査において工期の得点に大差がついたことに「疑問が解けない」との思いを述べ、審査の議事録や、各審査委員がつけた得点の公表を求めている。伊東氏に話を聞いた。(聞き手/週刊ダイヤモンド編集部記者 岡田悟、同誌委嘱記者 大根田康介)

工期で大差がついたのは疑問
高圧的に口をはさんだJSC職員

――昨年末に国立競技場の技術提案の審査結果が公表され、A案610点に対し、伊東さんのB案は8点差の602点で敗れました。その後の記者会見で伊東さんは、審査の在り方など問題点を指摘されています。

いとう・とよお
1941年京城(現韓国ソウル)生まれ。東京大学工学部建築学科卒業。「せんだいメディアテーク」(仙台市)、サーペンタイン・ギャラリー・パヴィリオン2002(英国ロンドン)など国内外で多数の建築を手掛ける。2013年プリツカー賞受賞。ザハ案が選ばれた国立競技場の当初のデザインコンペにも参加したが、落選している。Photo by Toshiaki Usami

 今回公表された得点の内訳で、A案、B案とも同じ2019年11月に竣工する計画であるのに、「工期短縮」の項目の評価で117点に対して150点と、27点もの差がついたのは、最大の謎、疑問です。我々のチームで作業をしてくれたスタッフがみんな、解せない。疑問が解けない。あきらめきれないという気持ちが強くあります。

――B案の中で、工期短縮などのために特に工夫をした点を教えてください。

 まず、これは隈さんのA案もそうですが、スタジアムで同じ(形の)断面を貫くことです。ただし私の案の場合は、スタンドの屋根を、支点を中心に上下に動かすことでうねりを作り、(構造を)極端に単純化している。また造る方法も、足場を組まずに大型クレーンだけを使う方法です。これが工期の短縮につながります。

 スタンドの構成を2段にしているのも大きな違いです。A案は3段で、ザハ・ハディド氏の案を踏襲していますが、2段にすることで、観客にとって移動の際のわかりやすさにつなげています。一般的には、2段より3段にすることで、スタンドは高くなる半面、観客席からスタンドが近く感じられるといわれます。しかし今回、私たちが検討した結果、2段にした場合もこうした点は変わりませんでした。

 観客は、外周の(樹木などを植えた)「四季の回廊」から同じ高さのコンコースに入って、そこからの移動はスタンドを上に上がるか、下に下がるかの二つの判断だけです。

 かつ、これらをすべてプレキャスト(既成)コンクリートでやろうと。こうやって工期を短縮するという提案をしました。

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