いよいよ7月11日の参院選に向けた選挙戦が始まりました。
選挙戦での一番の争点は消費税増税と財政再建になりそうですが、それに関しては、政治の主張のレベルもさることながら、それを報道するメディアの側にも問題が多いと言わざるを得ません。
論外なマニフェストの主張
二大政党である民主党も自民党も消費税増税をマニフェストで訴えています。民主党はマニフェストでは明示していませんが、菅総理が10%という数字も含めて明言していますので、公約に含まれると考えるべきです。
しかし、先週も書いたように、両党の主張は明らかに間違っています。繰り返しになるのでポイントだけ書くと、二つの問題があります。
一つは、デフレ下での消費税増税は更にデフレを悪化させるという、マクロ経済運営の観点からは最悪の選択肢であるということです。デフレが更に悪化すると、増税に伴う税収増は期待ほど増えませんので、更に増税が必要になります。増税→デフレ→増税、という悪循環に陥る危険性が高いのです。
もう一つは、公務員給与の削減もせずに消費税増税を目指すのは、国民に対する背信行為だということです。財政再建は当然必要ですが、消費税増税は最後の手段のはずです。
まずは公務員や国会議員の給与削減、政府資産の最大限の売却、埋蔵金の最後の一円までの発掘など、やれることはたくさんあるのに、それらが不十分なままで消費税増税を訴えるのは、キャリア官僚べったりだった自民党と、今や政治主導から官僚主導へと路線変更した菅民主党らしい主張と言えます。
消費税増税の主張の背景には、ヨーロッパでの財政再建・増税ブームがあるはずです。そうでないと、二大政党が両方とも消費税増税を強く主張することなどあり得ません。世界の流行に弱い日本らしいと言えばそれまでですが、ここでも留意すべきは、流行の表面しか追っていないということです。