参院選の過半数割れで、石破首相に残された「四つの選択肢」、連立巡る本命ルートは参院選から一夜明け、東京・永田町の同党本部で記者会見する首相の石破茂(左端、自民党総裁)[代表撮影] Photo:JIJI

「ここから先はいばらの道だが、丁寧に他党との議論を深め、赤心報国の思いで国政に当たる」

 参院選の全議席が確定した7月21日午後、記者会見した首相の石破茂は続投を正式に表明した。選挙結果は石破自身が必達目標とした「自公で50議席」には届かず47議席。衆院で過半数を割り込む少数与党が参院でも過半数を失った。常識的には記者会見は退陣表明の場になっても不思議はなかった。

 しかし、石破はあえて「中央突破」を選択した。“二重苦”を背負った石破に明確な展望があるわけではない。それでも石破には昨年10月の政権発足以来の党内や霞が関の官僚たちの非協力的な態度に対する内閣総理大臣としてのプライドと意地があった。石破は選挙中の演説で米大統領のトランプが通告してきた関税措置について石破らしからぬ言葉を発した。

「なめられてたまるか」

 石破の続投宣言にはこの演説と同じ思いが込もっていたといってよかった。思いを共有していたのが幹事長の森山裕だった。「森山さんがいなければ政権は持たない」――。石破はしばしばこう漏らすほど全幅の信頼を置く。投開票日の20日午後、石破は東京・赤坂の衆院議員宿舎に向かった。待っていたのが森山だった。入念な協議の結論は中央突破。森山は選挙中に政治の指南役でもある元幹事長、古賀誠を事務所に訪ねている。古賀は明快だった。

「どんな結果が出ようと政権は続けるべきだ。退陣すればはるかに大きな政治的混乱を招く。頑張ってください」