
体に不調を感じればまず飛び込む先は近所の開業医。だが、彼らは驚くほど優遇された税制度の中で暮らしていることをご存知だろうか。なんと開業医は収入の7割を経費扱いにでき、資産は無税で相続可能。高所得層ともなれば、収入の半分近くを税金で持っていかれるサラリーマンの目には羨ましすぎる仕組みの実態に迫る。※本稿は、大村大次郎『本当は怖い税金の話 元国税調査官が書いた 知らないと損する裏知識』(清談社Publico)の一部を抜粋・編集したものです。
庶民が重税で苦しんでいる中で
開業医は報酬の7割が自動で経費扱い
税金で優遇されている職業として、「開業医」があります。
医師全体が優遇されているのではなく、「開業医」だけが優遇されているのです。ここは、大事なところなので、間違えないでください。
開業医は、収入にかかる税金(所得税、住民税)においても、相続税においても、信じられないほど優遇されているのです。
まず開業医の収入にかかる税金がどういうことになっているかご説明しましょう。
開業医の場合、最大で社会保険診療報酬の72%が自動的に経費として認められることになっています(社会保険診療報酬が2500万円以下の場合)。
簡単にいえば、開業医は収入のうちの28%だけに課税をしましょう、72%の収入には税金はかけませんよ、ということです。
本来、事業者というのは(開業医も事業者に含まれる)、事業で得た収入から経費を差し引き、その残額に課税されます。しかし、開業医は、収入から無条件で72%の経費を差し引くことができるのです。実際の経費がいくらであろうと、です。