「伝えベタ」でも最高のリーダーになれる

1000人以上の経営者へのインタビューを15年近く続けてきた藤沢久美氏の最新刊、『最高のリーダーは何もしない』。

リーダーの重要な役割は、ビジョンをメンバーに伝え、それを浸透させることである。どのような伝え方が効果的なのか、何を伝えるべきなのか。技術より大切にしたいものを藤沢久美が語る。

「高度なプレゼン技術」は必須ではない

物語を伝える天才と言えば、アップルの故スティーブ・ジョブズさんをイメージする方も多いのではないかと思います。

ジョブズさんが新製品を発表するときのプレゼンテーションは、まるで大切な宝物を見せるかのごとく幸せそうで、そして自信に満ちていました。
その姿に多くの人々が感動し、アップル社の製品を思わず「ほしい」と思ってしまいました。

ジョブズさんに限らず、すべての社長やリーダーにとって、自分たちの事業や商品・サービスなどは、仲間たちとともにつくり上げた作品であり、大切な宝物ですから、誰にでもジョブズさんのようなプレゼンをするベースはあるはずです。

とはいえ、文化や習慣の違いもあって、彼のようなプレゼンをする日本人リーダーはあまり多くありません。

ただし、ここで1つ整理しておきたいのは、プレゼン力とビジョンを語る力は、必ずしもイコールではないということです。

プレゼンは、多くの人にアピールするためのある種のパフォーマンスです。プレゼンのような大仰なことを考えなくても、日ごろの仕事のなかでビジョンを伝える方法はたくさんあります。