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脳が認める勉強法
【第7回】 2016年2月15日
著者・コラム紹介バックナンバー
ベネディクト・キャリー,花塚 恵

反復学習よりも効果大!
学習に変化を取りいれる「インターリーブ」のすごさ

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勉強でもスポーツでも「反復学習(練習)」の効果が根強く信じられている。しかし、近年の科学研究によって、変化を取りいれた「インターリーブ」と呼ばれる方法のほうが効果が高いことが実証されたという。インターリーブとは何か? 米国ベストセラー『脳が認める勉強法』より、内容の一部を特別公開する。

反復練習の効果を否定した
「お手玉の実験」

 反復練習のほかにも何かあるかもしれないといち早く教えてくれたのが、1978年にオタワ大学のふたりの研究者が行った実験だ。

 ロバート・カーとバーナード・ブースは、人間の動きを研究する運動力学の専門家だった。運動力学の研究者は、スポーツのトレーナーやコーチと密に連携することが多く、スポーツ選手の運動能力、怪我の回復、耐性に関係する要因に関心を抱いている。

 カーとブースがその実験を行ったのは、練習の仕方を変えると、お手玉を的にめがけて投げるという単純で地味なスキルにどのような影響を及ぼすかを知るためだった。

 ふたりは、近所のスポーツジムが12週間にわたって開く土曜午前の運動コースに登録した8歳の子ども36人を被験者とし、2グループに分けた。そして、両チームにお手玉を的に向かって投げさせながら、競技の説明をした。

 子どもたちは、ゴルフボール大のお手玉を持って膝立ちになり、床に描いてある的を狙って投げた。ただし、投げるときはアイマスクを装着させた。目が見えない状態で投げ、投げ終えたらアイマスクをとってお手玉の位置を確認し、それから改めて投げてもらった。

 1回目の挑戦は両グループとも好成績に終わり、スキルに明らかな差は見られなかった。

 その後、子どもたちに練習をさせた。練習は6回で、1回につき投げるお手玉の数は24。グループAには1メートル先に的を用意し、それに向かって投げる練習をさせた。グループBには的を2種類用意し、60センチ離れた的と120センチ離れた的のどちらかを狙って投げる練習をさせた。それ以外の条件はすべて同じだった。

 12週目を迎えたとき、最終実技テストが実施された。ただし、テストの内容は、1メートル先の的に投げるというものだった。これでは不公平ではないか。一方のグループは1メートル先の的を狙って投げる練習をずっとしてきたのに、もう一方はまったくしていない。前者のほうが明らかに有利だ。

 ところが、結果は意外なものだった。テストと同じ距離で練習したという事実は、最終実技テストではほとんどメリットにならなかったのだ。

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ベネディクト・キャリー(Benedict Carey)

『ニューヨーク・タイムズ』紙サイエンスレポーター。 コロラド大学卒業後、ノースウェスタン大学大学院でジャーナリズムの修士号を取得。フリージャーナリストを経て、『ロサンゼルス・タイムズ』紙の記者として脳科学、医療、健康の記事を執筆。2002年にはミズーリ大学ライフスタイル・ジャーナリズム賞を受賞した。2004年より『ニューヨーク・タイムズ』紙の記者となり、神経科学、精神医学、神経学、日常の心理学を主なテーマとして活動している。読者からのメールがもっとも多い人気記者のひとりで、25年にわたって科学と健康の記事を書き続けている。

 

花塚 恵(はなつか・めぐみ)

翻訳家。福井県福井市生まれ。英国サリー大学卒業。英語講師、企業内翻訳者を経て現職。主な訳書に『決める』(ダイヤモンド社)、『世界トップ3の経営思想家によるはじめる戦略』(大和書房)、『米海軍で屈指の潜水艦艦長による「最強組織」の作り方』(東洋経済新報社)、『スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。


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