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脳が認める勉強法
【第5回】 2016年1月12日
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ベネディクト・キャリー,花塚 恵

受験生必見!学習効果を高める6つのテクニック

最新の科学研究によれば、これまで定説とされてきた勉強法は多くの場合に間違っているという。では、どうすれば脳はもっとも効率よく学べるのか。米国ベストセラー『脳が認める勉強法』より、学習効果を高めるテクニックの一部を紹介する。

Q1.勉強のルールを設ける必要はあるか? たとえば、勉強する場所は決めたほうがいいのか?

決める必要はない。ほとんどの人は、場所を変えて勉強するほうが成績が上がる。いろいろな環境で勉強するほど、勉強したことの記憶が鮮明になり、また長く記憶に残る。それに、場所を変えることで、「ここで勉強しないとはかどらない」という場所が生まれにくくなる。

 要するに、ノートパソコンを持って庭に出る、カフェへ行く、飛行機に乗るなどして場所を変えて勉強するほうが、環境に左右されずに勉強した内容を思いだしやすくなるのだ。突き詰めれば、勉強は、どんな条件下でも実力を出せるようになるために行うものだ。

 場所を変えることだけが、いわゆる「背景情報の影響」の恩恵にあずかる方法ではない。勉強する時間帯を変えることはもちろん、黙って教科書を読むときもあれば誰かと議論するときもある、コンピュータに入力するときもあれば手書きのときもある、鏡の前で練習するときもあれば音楽を聴きながら勉強するときもあるというように、勉強の仕方を変えることにも効果がある。

 いま例にあげたことは、それぞれが異なる学習環境だと言える。同じ内容を勉強しても学習環境が異なれば、記憶される方法も変わる。

Q2.睡眠は学習にどのような影響があるのか?

.睡眠には複数の段階があり、段階ごとにそれぞれのやり方で、記憶された情報の強化や選別が行われる。

 たとえば、睡眠の前半に起こる「深い眠り」は、名称、日付、公式、概念といった事実を記憶にとどめるために重要な役割を果たすことがわかっている。情報をたくさん暗記しないといけないテスト(外国語の単語、人名や名称、出来事の日付、化学構造などを問うテスト)が控えている場合は、普段どおりの時間に就寝して「深い眠り」を十分にとり、翌朝早く起きて簡単に復習するとよい。

 ただし、運動能力や創造的思考(数学、科学、作文など)の強化に役立つ眠りの段階は、目覚める前の朝の時間帯に訪れる。音楽の発表会やスポーツの競技会、あるいは創造的思考を必要とするテストの準備をする場合は、普段よりも遅くまで起きて準備するほうがいいだろう。

 こうしたことを知っておけば、勉強や練習をしたいと思ったときに、朝と晩のどちらを使えば効率がいいかがわかる。

Q3.勉強や練習に、適量は存在するのか?

.どのくらい勉強するかよりも、どのように勉強時間を配分するかのほうが重要だ。一気に勉強するよりも、時間を区切って2回、3回と勉強時間を分割するほうがはるかに効率がいい。

 たとえば、ドイツ語の勉強のために2時間とっているなら、今日1時間勉強し、翌日に1時間勉強するほうが多くのことを覚えられる。翌日ではなく翌々日にすると、その効果はさらに高まる。

 勉強時間を分割すれば、その内容に向きあい直さざるをえないので、すでに知っている知識を掘り起こして再び記憶することになる。この能動的なプロセスによって、記憶の定着が確実に改善するのだ。

Q4.自分で自分にテストする、たとえば、単語カードを使った勉強などはどのくらい役に立つのか?

.非常に役に立つ。自分の理解を試す自己テストは、もっとも効果の高い学習テクニックの一つだ。昔ながらの単語カードはもちろん効果が期待できるし、友人、職場の同僚、クラスメイトに問題を出題してもらってもいい。

 自己テストの効果を最大限に高めたいなら、次の二つを満たすとよい。一つは、複数の選択肢のなかから正解を選ぶようにすること。そしてもう一つは、答えたすぐ後に正解を確認することだ。

 復習に時間を使うつもりなら、自己テストをしたほうが、記憶の定着と理解がはるかに向上する。自己テストと言っても形はさまざまある。仲間の前、または鏡の前で覚えたことを暗唱するのも自己テストの一種だ。キッチンを歩きながら自分に向かって、または同僚や友人とのランチの席で、自分が学んだことを説明することもそうだと言える。

 教師はよく「誰かに教えられるようにならないと、本当に理解したことにはならない」と言う。まさにそのとおりだ。

Q5.授業でとったノートの復習は、どれくらい役に立つのか?

.その答えは復習の仕方によって変わる。ノートの言葉をそのまま書き写すだけでは、理解を深める効果はほとんどない。教科書の線を引いた部分や公式に目を通すのも同じだ。どちらも受け身の勉強であり、それでは科学者が言うところの「流暢性の幻想」が生まれる恐れがある。

 人は、いま答えがわかれば、翌日、あるいは翌週になってもそのまま覚えているに違いないと思いがちだ。だが、必ずしもそうではない。線を引く、またはコンピュータやノートに書き写すだけでは、その内容を深く脳に刻み込むことにはならない。

 一方、大事な箇所に線を引いたノートを復習し、その後ノートを見ずに書き起こすのであれば、思いだそうとする働きが強くなる。こちらのやり方のほうが、復習としてははるかに効果的だ。

 それに、自分が覚えていないことがその場で明らかになるので、どこに戻って何を復習すればいいかもわかる。

Q6.ソーシャルメディア、そしてスマートフォンをはじめとする電子機器が学習を妨げていると懸念する声は多い。注意がそれることは、悪いことなのか?

.講義を聴くときのように、一定のあいだ集中力を要することをするときは、注意をそらすものは邪魔になる。だが、問題を解いていて行き詰まったとき、その状況から脱するには短い休憩をとるのがもっとも効果的である。

 そういうときは、5~20分程度の休憩をとり、フェイスブックを見る、メールに返信する、スポーツの試合の途中経過を確認する、といったことをすればいい。取り組んでいる問題から自ら離れると、間違った思い込みから解放され、手がかりを違った側面から見られるようになるので、新たな気持ちで問題と向きあえる。

 その問題は、数学の証明や積分の問題かもしれないし、書き方に悩んでいる作文かもしれない。いずれにせよ、問題を解決したいという意欲があれば、問題から離れて休憩しているときでも、脳は無意識にその問題のことを考え続けている。

 しかも、問題から離れることで、向きあっていたときに抱いていた固定観念や間違った方向へ進もうとする考え方から解放された状態で考えられるようになる。

 (※この原稿は書籍『脳が認める勉強法』の巻末付録より一部を抜粋して構成したものです)

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ベネディクト・キャリー(Benedict Carey)

『ニューヨーク・タイムズ』紙サイエンスレポーター。 コロラド大学卒業後、ノースウェスタン大学大学院でジャーナリズムの修士号を取得。フリージャーナリストを経て、『ロサンゼルス・タイムズ』紙の記者として脳科学、医療、健康の記事を執筆。2002年にはミズーリ大学ライフスタイル・ジャーナリズム賞を受賞した。2004年より『ニューヨーク・タイムズ』紙の記者となり、神経科学、精神医学、神経学、日常の心理学を主なテーマとして活動している。読者からのメールがもっとも多い人気記者のひとりで、25年にわたって科学と健康の記事を書き続けている。

 

花塚 恵(はなつか・めぐみ)

翻訳家。福井県福井市生まれ。英国サリー大学卒業。英語講師、企業内翻訳者を経て現職。主な訳書に『決める』(ダイヤモンド社)、『世界トップ3の経営思想家によるはじめる戦略』(大和書房)、『米海軍で屈指の潜水艦艦長による「最強組織」の作り方』(東洋経済新報社)、『スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。


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最新の科学研究によれば、これまで定説とされてきた勉強法は多くの場合に間違っているという。では、どうすれば脳は最も効率よく学べるのか。米三大紙『ニューヨーク・タイムズ』の人気サイエンスレポーターが、第一線の科学者らへの取材をもとに、脳をフルパワーで働かせる記憶法・勉強法を徹底解明。 米国のベストセラー『脳が認める勉強法』から、内容の一部を特別公開する。

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