金融市場は当面「立ち入り禁止」
信用不安が世界的に拡大の懸念も

市場関係者の間には「当面、金融市場に入るのは危険」との声も

 足元の株式・為替・債券の金融市場が大きく変動している。日経平均株価は、2月15日現在では反騰しているものの、2月12日には約1年4ヵ月ぶりに1万4800円台まで下落し、為替市場では一時1ドル=111円台まで円高が進んだ。

 一方、国内の国債市場では、10年物国債の流通利回りが史上初めてマイナスに落ち込むなど金融市場は大荒れの状況だ。市場関係者の中には、「特別に急ぐ事情がない限り、金融市場に入るのは危険」との声も出ている。

 1月29日の日銀の予想外のマイナス金利導入で、一時、株高・円安方向に動き安定性を取り戻したように見えた。しかし、黒田総裁の“バズーカ第3弾”は、わずか2営業日しか効果が続かなかった。

 中国経済の減速鮮明化、米国経済の減速懸念に加えて、ここに来て欧州地域の有力金融機関の経営状況の悪化懸念が台頭しており、投資家がリスクを嫌う=リスクオフの動きが一段と顕著になっている。

 当面、中国や米国経済の先行きの不透明感を拭い去ることは難しい。欧州の有力銀行の信用力に対する懸念については、当該国の政府や財務当局高官が盛んに火消しに回っているものの、いったん燃え上がった火を短期間で消し止めることは困難だ。

 金融機関が自己資本積み上げのために多く発行した“COCO債(Contingent Convertible bond)=偶発転換社債”は、米国やアジア地域の金融機関も発行した。

 信用不安が欧州の銀行以外にも、世界的に拡大することも懸念される。当面、金融市場は“立ち入り禁止”の状況が続くかもしれない。