昨年の総選挙では、民主党の目玉政策の一つだった「子ども手当」だが、その後に大切に扱われているとは言い難い。

 公平に見るなら、小沢一郎前民主党幹事長が「公約は守るべきだ」という主旨で菅首相を批判している意見が「子ども手当」に対して擁護的なのを見落とすべきではないが、満額実施を訴える意見で目立つのはこれくらいのものだ。

 それ以外には、単に「バラマキ」と決めつけて批判する意見も含めて「子ども手当」に対する評判は宜しくない。

 しかし、筆者には「子ども手当」がそれほど悪いとは思えない。個々の子ども手当への攻撃を、子ども手当の背後にある思想と対比して見ると、子ども手当を攻撃している人たちの立ち位置がよく分かるように思える。参議院選挙の投票が間近に迫っていることもあり、個々の政党や候補者に言及し辛いが、「子ども手当」をいわば一つの試金石として、彼らの政策に対する姿勢を評価することができるのではないか。

 「子ども手当」が本来持っている思想とは、

①子供の人数と年齢以外に条件を付けずに人を平等に扱う(単純で平等)、
②負担と合わせて考えると低所得者に相対的に厚い富の再配分(貧者に優しい)、
③官僚が権限や裁量を発揮したり、官製の事業に予算を使いOBを喰わせたりする余地がない(脱官僚)、
④使途は自由で政府は国民生活に介入しない(生活への不介入)、
といったことだ。

 これらの何に反対しているのかを見ると、反対者の立場や思想が分かる。