三菱東京UFJ銀行が鳴り物入りでスタートさせた「環境融資室」をひっそりと廃止していることが週刊ダイヤモンドの調べでわかった。環境融資といえば聞こえはいいが、産業廃棄物処分場やリサイクル企業への融資を中心に、トラブルや焦げつきを多数発生させた模様だ。その背景には、同行の審査体制のゆがみがあった。
Photo by Toshiaki Usami
房総半島のちょうど中央に位置する千葉県君津市。ゴルフ場や砂利採取場が多数あることで知られるこの地域、じつは産業廃棄物処分場も多い「産廃銀座」としても有名だ。
そんな君津市の静かな山あいに、92万立方メートルの廃棄物を処理することができる、関東地方では最大級の最終処分場がある。現在は、開店休業中のようなこの処分場を保有する処理業者、「クリーンフォレスト(CF)」を舞台にした不正融資疑惑が持ち上がっている。
三菱東京UFJ銀行がCFに融資したのは、2007年3月のこと。融資期間5年の13億円、そして10年の11億円、合わせて24億円の融資が実行された。計画では、他のメガバンクによる融資の借り換えと、最終処分場の拡張に使われることになっていた。
ところがである。融資からわずか1年9ヵ月しかたっていない08年末の支払いを最後に、突如、返済がストップしてしまう。同社は、元本、金利共に当面は支払えないと三菱東京UFJに通告、結局24億円のうち、約19億円が焦げついてしまったのだ。
時を同じくして、他の金融機関に対する返済もストップするなど、資金繰りがかなり悪化していた様子がうかがえる。だが、三菱東京UFJと同社の関係を注意深く見ていくと、それだけではない特別な事情が隠されているようなのだ。
コンサル料として担当者に3600万円?
三菱東京UFJが融資した直後のこと。クルマが好きなCF社長のF氏は、1000万円以上もする高級外車を買い漁っていた。
さらに、大型の工事などほとんどないにもかかわらず、なぜか数千万円単位のカネが開発費用として社外に流出。コンサルタント5~6人に対し、顧問料という名目で毎月数十万円ずつ支払うなど、従業員10人以下、年商10億円程度の会社にしてはカネの使い方が荒かった。
内部事情に詳しい関係者によれば、「資金の一部はグループの別会社に還流していた疑いがある」との証言もあり、資金繰りに窮していたとははなはだ信じがたい状況なのだ。