魚の消費が世界的に増えたカラクリ

 漁業および養殖業の生産量が増えているというのは、人々が食べる魚介類の総量が増えていることを意味します。実は、単に人口が増えたから漁獲量が増えたというだけではなく、ひとりひとりが食べる魚介類が増えていることが、増加の要因になっています。

 FAOによると、全世界の人々が1年間に食べた魚介類は、1人当たり18・9キログラム(2011年)で、50年前(1961年)の9キログラムから2倍以上に増えているのです。さらに今後も増加傾向が続き、2023年には、世界の食用魚介類の1人当たりの消費量は、20・9キログラムとさらに1割増加すると予測しています。

 魚介類の消費の増加は、地域性に関係のない世界的な傾向です。これは、国境を越えた国際的な交通網の発達、魚の鮮度を保持する冷凍、低温輸送の技術が、アジア、アフリカや中南米諸国に普及したことで、これまであまり魚を食べることがなかった内陸部、山間部の人まで魚を食べるようになったからです。今後、さらに国際的な水産流通システムが整備されることにより、魚介類の需要はますます拡大していくことでしょう。

 ただし、魚介類の需要が増えても、天然の魚は減っている可能性が高く、また、FAOの評価結果から見ると、過剰利用されている漁業資源の増加が著しいようです。そのため、これ以上漁船漁業による漁獲量の増加は見込まれません。今後、さらに養殖業へのニーズが高まり、水産業の中心が養殖業に移っていくのは確実でしょう。