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日本に巣食う「学歴病」の正体

学歴との向き合い方で人生の明暗が分かれた、
20代の若者たち

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第13回】 2016年4月5日
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 今回は、20代の若者が学歴絡みの“迷い”を抱え、人生の岐路に立つ姿を紹介したい。前半と後半で紹介する2つのケースとも、20代の社員が人生の軌道修正を行なうエピソードだ。前半はいじめを受けて辞めていく若者のケース、後半は学歴をバネに這い上がる若者のケースだ。

 いつの時代も、20代の頃、このような状況になる人は少なくないと思う。大学などを卒業し、社会人になり、学歴と改めて向かい合うときでもある。その姿勢の差が、30代の人生に表れる気がする。記事を読む30代以降の人も、このような事例に近い経験をしたことがあるのではないだろうか。


いじめの波状攻撃により、
新人は静かに辞めていく

20代で学歴に押し潰された人もいれば、学歴をバネに這い上がった人もいる。多感な時期に若者たちはどう「学歴」と向き合うべきか

 昨年12月、編集制作プロダクションの社長と接しているとき、このようなことを話していた。

 「来年4月入社の新人を今の時点でも、ゲットできていない。大卒の新人はすぐに辞めるから、どうするべきかと迷っている」

 このプロダクションは正社員が7人、契約社員が2人。社長は50代後半の男性で、創業15年ほどになる。都内で数千はあると言われる編集プロダクションの中では、歴史や規模、実績などは上位の部類に入る。

 出版社や広告会社、大学などの出版部門の本や雑誌、冊子などの編集制作を請け負っており、年に数回は正社員の採用を行う。そのほとんどが中途採用であり、20代後半から30代の編集者を雇う。新卒の採用は、社長いわく「リスクがあまりにも大きい」ということで、2~3年に一度行う程度なのだという。

 大卒の新卒を雇っても、1年以内にほとんどが辞めていくらしい。卒業大学で見ると、早稲田、明治、中央の3校が多いようだ。出版社や広告代理店の採用試験に不採用だった人が多いという。慶應、上智、ICU、青学、立教などを卒業した人が入社したケースはないそうだ。

 一方で、日大、駒沢大、専修大、大東文化大などの出身の新人は、いじめを受けることなく3~5年は在籍するが、その後辞める傾向があるようだ。いじめをするのは、専門学校や高卒として入社し、5~15年前後のキャリアの編集者3人である。男が2人で、女が1人。この3人が正社員7人の中核であり、古株だ。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


日本に巣食う「学歴病」の正体

 今の日本には、「学歴」を基に個人を評価することが「時代遅れ」という風潮がある。しかし、表には出にくくなっても、他者の学歴に対する興味や差別意識、自分の学歴に対する優越感、劣等感などは、今も昔も変わらずに人々の中に根付いている。

たとえば日本企業の中には、採用において人事が学生に学歴を聞かない、社員の配属、人事評価、昇格、あるいは左遷や降格に際しては仕事における個人の能力や成果のみを参考にする、という考え方が広まっている。しかし実際には、学歴によって選別しているとしか思えない不当な人事はまだまだ多く、学閥のようなコミュニティもいまだに根強く存在する。学歴が表向きに語られなくなったことで、「何を基準に人を判断すればいいのか」「自分は何を基準に判断されているのか」がわかりずらくなり、戸惑いも生まれている。こうした状況は、時として、人間関係における閉塞感やトラブルを招くこともある。

 これまでの取材で筆者は、学歴に関する実に多くのビジネスパーソンの悲喜こもごもを見て来た。学歴に翻弄される彼らの姿は、まるで「学歴病」に憑りつかれているようだった。学歴は「古くて新しい問題」なのだ。本連載では、そうした「学歴病」の正体を検証しながら、これからの時代に我々が意識すべき価値基準の在り方を考える。

「日本に巣食う「学歴病」の正体」

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