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三谷流構造的やわらか発想法

「完全さを諦め公平さを割り切る」課題先進国イギリスの生存戦略

三谷宏治 [K.I.T.虎ノ門大学院主任教授]
【第136講】 2016年4月14日
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ロンドンで電車が止まるとどうなるか?

 ある朝のロンドンの通勤電車。東京ほどの混雑ではありませんが、満員です。

 それが駅間で、突然止まりました。しばらくしてあったアナウンスは不明瞭で聞き取れません。でもどうも何かの故障で止まった様子。まあ仕方がありません。

 ところが10分待っても、20分待っても動かず、ついに30分経ったところで諦めました。鉄道会社側が。

「運行を打ち切ります」「後ろから降りてください」

 たまたま電車の後端が、ある駅のホームにかかっていたので、そこから降りろというのです。これもまあ、仕方がありません。

 降り立ったのは見知らぬ小さな駅。駅員は見当たらず、パトカーで駆けつけたお巡りさんがいるだけです。その誘導に従って、乗客はぞろぞろホームから駅の外に出て……。

そして、その場で「解散」となりました。えっ、カイサン?

 ビックリです。

 でも、居合わせたイギリス人たちは誰ひとり、この事態(や鉄道会社の対応)に対して何の文句も言いませんでした。みな粛々と受け容れ、黙々と行動しています。ひとり陽気なおばさんが「○○○(聞き取れないがたぶん地名)ってどっちなの~」と肩をすくめていたくらい。

 日本と違って電車が止まることに慣れている(*1)のもあるでしょう。でも、それだけではありません。これはきっと、割り切りの産物なのです。

イギリスこそが課題先進国だった!

1990年、高齢化率(65歳以上人口比率)でイギリスは世界第3位(15.7%)でした。同年、日本は11.9%で第23位。

 もちろん今(2014年データ)では日本が高齢化率の世界一を独走(25.8%、2位のイタリアは21.5%)していますが、長らく「高齢化」といえば欧州各国のことだったのです。中でもイギリスは、数百年にわたって「没落」を続けてきました。

*1 最近の首都圏の通勤電車はよく止まる。相互乗り入れの増加が原因か。

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三谷宏治 [K.I.T.虎ノ門大学院主任教授]

1964年大阪生まれ、福井育ち。小1のとき読書と読みかじりを人に教える快感に目覚め、駿台予備校では教えることの技術に衝撃を受ける。東京大学 理学部物理学科卒業後19年半、BCG、アクセンチュアで戦略コンサルタントとして働く。2003年から06年までアクセンチュア 戦略グループ統括。途中、INSEADでMBA修了。
2006年から教育の世界に転じ、社会人教育と同時に、子どもたち・親たち・教員向けの授業や講演に全国を飛び回る。「決める力」「発想力」と「生きる力」をテーマに毎年8000人以上と接している。現在K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院 主任教授(MBAプログラム)の他に、早稲田大学ビジネススクール、グロービス経営大学院、女子栄養大学で客員教授、放課後NPO アフタースクール及びNPO法人 3keys 理事を務める。永平寺ふるさと大使。
著書多数。『一瞬で大切なことを伝える技術』(かんき出版)は啓文堂書店2012ビジネス書大賞、『経営戦略全史』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)はダイヤモンドHBRベスト経営書2013第1位、ビジネス書大賞2014大賞、『ビジネスモデル全史』(同)はHBRベスト経営書2014第1位となった。
HPは www.mitani3.com

 

 


三谷流構造的やわらか発想法

発想法ってなんのために存在するのでしょう? ヒトと違うアイデアや答えを出すためです。統計的に有意な戦略なんて、定義により無価値ですし、統計的に正しい発想法なんてあるわけがありません。発想に「普遍性」や「高確率」を求めるなんてそもそも矛盾しているのです。発想法も、然り。これまでと違うものを生み出すには、新しい発想法がいま求められているのです。

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