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課長は労働法をこう使え!
【第12回】 2016年4月13日
著者・コラム紹介バックナンバー
神内伸浩 [弁護士]

上司の配慮不足で部下が「つぶれた」事例
「課長が負けた裁判」に学ぶマネジメント術(5)

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パワハラ、セクハラ、ソーハラ、マタハラ……。昨今は、これまであまり問題視されてこなかったコミュニケーションにも「ハラスメント」のレッテルが貼られるようになりました。課長は、どうすれば労働問題に巻き込まれずに日々のマネジメントに注力できるのか? 国内企業と外資系企業の人事部でサラリーマン経験がある労働問題解決の第一人者が、事例とともに実践的な「法律の使い方」をお伝えします。

東芝(うつ病・解雇)事件(最高裁二小 平成26年3月24日判決)

1人の女性社員が、会社に期待されて、新規プロジェクトのリーダーを拝命しました。

しかし、しばらくして、その女性社員が体調悪化を理由に担当を降りたいと要請しました。重要なプレゼンがある会議を、体調不良で休んだこともありました。女性社員の上司は、「君の仕事を増やしておいたよ」と、真剣には取り合いませんでした。

その後、女性社員は本格的に体調を崩して休職に入り、休職期間満了後も出社できませんでした。会社は、復職の条件として「ならし勤務」や、専用の休憩室を設ける提案までしました。しかし、本人が仕事をする元気がないというので、やむなく解雇しました。

すると女性社員は、解雇無効を訴えて訴訟を起こします。解雇無効は高裁で確定。しかし高裁は、「自分がうつ病に罹患していることを上司に告げなかったことが女性社員の落ち度である」として、会社の賠償額を2割減じたのです。

この2割の減額(過失相殺)の当否、が最高裁で争われることになりました。

最高裁は、「メンタルヘルスは人事考課に影響しうる非常にセンシティブな情報なので隠しておきたい。本人が会社に言わなかったとしても本人の落ち度ではない。むしろ体調が悪そうにしていたら、うつ病かどうかわからなくても会社が配慮すべき」と2割の減額を認めず、高裁へ差し戻したのです――。

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神内伸浩 [弁護士]

(かみうち・のぶひろ)労働問題専門の弁護士(使用者側)。1994年慶応大学文学部史学科卒。コナミ株式会社およびサン・マイクロシステムズ株式会社において、いずれも人事部に在籍。社会保険労務士試験、衛生管理者試験、ビジネスキャリア制度(人事・労務)試験に相次いで一発合格。2004年司法試験合格。労働問題を得意とする高井・岡芹法律事務所で経験を積んだ後、11年に独立、14年に神内法律事務所開設。民間企業人事部で約8年間勤務という希有な経歴を活かし、法律と現場経験を熟知したアドバイスに定評がある。従業員300人超の民間企業の社内弁護士(非常勤)としての顔も持っており、現場の「課長」の実態、最新の労働問題にも詳しい。
『労政時報』や『労務事情』など人事労務の専門誌に数多くの寄稿があり、労働関係セミナーも多数手掛ける。共著に『管理職トラブル対策の実務と法 労働専門弁護士が教示する実践ノウハウ』(民事法研究会)、『65歳雇用時代の中・高年齢層処遇の実務』『新版 新・労働法実務相談(第2版)』(ともに労務行政研究所)がある。単著は本書が初となる。


課長は労働法をこう使え!

パワハラ、セクハラ、ソーハラ、マタハラ……。昨今は、これまであまり問題視されてこなかったコミュニケーションにも「ハラスメント」のレッテルが貼られるようになりました。課長にとって、おそらく過去最大レベルに労働法の知識が求められる時代だと言えるでしょう。そこで本連載では、国内企業と外資系企業の人事部でサラリーマン経験がある労働問題解決の第一人者が、事例とともに実践的な「法律の使い方」をお伝えします。

「課長は労働法をこう使え!」

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