ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
課長は労働法をこう使え!
【第8回】 2016年4月5日
著者・コラム紹介バックナンバー
神内伸浩 [弁護士]

「課長が負けた裁判」に学ぶマネジメント術(1)
~相手が明確に拒否しなくてもセクハラになる~

1
nextpage

パワハラ、セクハラ、ソーハラ、マタハラ……。昨今は、これまであまり問題視されてこなかったコミュニケーションにも「ハラスメント」のレッテルが貼られるようになりました。課長は、どうすれば労働問題に巻き込まれずに日々のマネジメントに注力できるのか? 国内企業と外資系企業の人事部でサラリーマン経験がある労働問題解決の第一人者が、事例とともに実践的な「法律の使い方」をお伝えします。

海遊館事件(最高裁一小 平成27年2月26日判決)

業務中に女性職員にセクハラ発言を繰り返す2人の課長代理。
1人の発言は、以下のようなものでした。

「もういくつになったん。結婚もせんでこんな所で何してるの。親、泣くで」
「30歳は22、23歳の子から見たらおばさんやで」
「もうお局さんやで。怖がられてるんちゃうん」
「お給料足りんやろ。夜の仕事とかせえへんのか。時給いいで」


男性職員の名前を複数挙げ、こんな発言もありました。

「この中で誰か1人と絶対結婚せなあかんとしたら誰を選ぶ?」
「地球に2人しかいなかったらどうする?」


もう1人の課長代理は、自分と不倫相手との性体験を別の女性職員に告白しました。

「俺のんでかくて太いらしいねん。やっぱり若い子はそのほうがいいんかな」
「嫁とは何年もレスやねん。でも俺の性欲は年々増すねん。何でやろうな」


こうした言動を、会社はセクハラと認定し、それぞれ出勤停止30日間と10日間の懲戒処分と降格。

ところが2人の課長代理は、この処分を不服として提訴しました。

「出勤停止は懲戒解雇に次いで重い処分だ」
「事前の注意や警告をしないで処分したことは不当だ」
というロジックです。

裁判所は、発言内容が就業規則で禁止されたセクハラに当たると認定。
「弱い立場にある女性職員に強い不快感を与える発言を繰り返し、セクハラ
行為をしたことは悪質だ」として処分が有効と判断されました――。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
自分の時間を取り戻そう

自分の時間を取り戻そう

ちきりん 著

定価(税込):本体1,500円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
生産性は、論理的思考と同じように、単なるスキルに止まらず価値観や判断軸ともなる重要なもの。しかし日本のホワイトカラー業務では無視され続け、それが意味のない長時間労働と日本経済低迷の一因となっています。そうした状況を打開するため、超人気ブロガーが生産性の重要性と上げ方を多数の事例とともに解説します。

本を購入する
ダイヤモンド社の電子書籍
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


神内伸浩 [弁護士]

(かみうち・のぶひろ)労働問題専門の弁護士(使用者側)。1994年慶応大学文学部史学科卒。コナミ株式会社およびサン・マイクロシステムズ株式会社において、いずれも人事部に在籍。社会保険労務士試験、衛生管理者試験、ビジネスキャリア制度(人事・労務)試験に相次いで一発合格。2004年司法試験合格。労働問題を得意とする高井・岡芹法律事務所で経験を積んだ後、11年に独立、14年に神内法律事務所開設。民間企業人事部で約8年間勤務という希有な経歴を活かし、法律と現場経験を熟知したアドバイスに定評がある。従業員300人超の民間企業の社内弁護士(非常勤)としての顔も持っており、現場の「課長」の実態、最新の労働問題にも詳しい。
『労政時報』や『労務事情』など人事労務の専門誌に数多くの寄稿があり、労働関係セミナーも多数手掛ける。共著に『管理職トラブル対策の実務と法 労働専門弁護士が教示する実践ノウハウ』(民事法研究会)、『65歳雇用時代の中・高年齢層処遇の実務』『新版 新・労働法実務相談(第2版)』(ともに労務行政研究所)がある。単著は本書が初となる。


課長は労働法をこう使え!

パワハラ、セクハラ、ソーハラ、マタハラ……。昨今は、これまであまり問題視されてこなかったコミュニケーションにも「ハラスメント」のレッテルが貼られるようになりました。課長にとって、おそらく過去最大レベルに労働法の知識が求められる時代だと言えるでしょう。そこで本連載では、国内企業と外資系企業の人事部でサラリーマン経験がある労働問題解決の第一人者が、事例とともに実践的な「法律の使い方」をお伝えします。

「課長は労働法をこう使え!」

⇒バックナンバー一覧