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軽視できないパナマ文書、世界中で政治経済不安定化も

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第424回】 2016年4月19日
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政治家や著名人の名前が続々
解明が進むにつれ事態は次第に深刻化

 “パナマ文書”が世界中に大きな波紋を投げかけている。パナマ文書とは、パナマにある法律事務所であるモサック・フォンセカから流出した機密文書だ。モサック・フォンセカとは耳慣れない響きだが、ユルゲン・モサックとラモン・フォンセカ・モーラの二人が作った法律事務所だ。

 この法律事務所は、裁判に係る手続きを行う一般的な事務所とは主要業務が大きく異なる。世界のお金持ちが、節税のために租税回避地(英領バージン諸島などの“タックスヘイブン”)に、実体のない登記だけのペーパー・カンパニーを設立するなどの業務が中心だ。

 その顧客の中には英国のキャメロン首相や中国の習近平主席ら政治家の親族、アラブの富豪、サッカー選手のメッシやジャッキー・チェンら広範囲の有名人が含まれている。

 そのパナマ文書は、匿名の人物によってまず南ドイツ新聞に持ち込まれ、その後、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に渡って分析が進められた。記載されているのは世界の著名人の節税に関する微妙な内容であるだけに、様々な機密事項が含まれている。

 文書の中に名前が記載されていたアイスランドの首相が既に辞任に追い込まれ、中国ではパナマ文書の報道は厳しい感性下に置かれるなど、パナマ文書は各国に大きな影響を与え始めている。それに対して欧州を中心に各国は調査を開始、OECD(経済協力開発機構)も緊急会合を開くなど、事態は次第に深刻化の様相を呈している。

 今後、パナマ文書の解明が進むにつれて、各国の政治が不安定になり経済運営への懸念が高まることも考えられる。歴史上最大の機密文書の漏えいといわれるパナマ文書の波紋を軽視すべきではない。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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