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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

中身は月とすっぽん!名古屋と阿久根で始まる
リコール運動が地方自治に投げかけたものとは

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第8回】 2010年8月6日
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 日本の地方自治は二元代表制を採用しており、首長と地方議員がそれぞれ住民に直接選ばれる仕組みとなっている。

 このため、原則として議員が首相以下各大臣を構成する議院内閣制の国政とは異なり、首長と地方議員の関係に与党・野党はないといわれている。地方議会は自治体の最終意思決定の場(議決機関)であり、執行機関へのチェック機能や立法(条例)機能などを持つが、予算の編成権や執行権は全て首長側がもつ。地方議会は、首長と是々非々の緊張関係を保つべきものなのだ。

日本の地方自治の実態は
二元代表制でなく二元なれ合い制

 しかし、本来の役割をきちんと果たしている地方議会は残念ながら、皆無に近い。議会がチェックすべき執行機関と癒着し、オール与党(日本共産党や無党派議員などを除く)化しているのが、通例だ。つまり、日本の地方自治の実態は二元代表制ではなく、二元なれ合い制になっているのである。

 国(霞が関)があらゆることに口を挟み、カネを握る中央集権体制が長らく続いている日本では、首長や職員、そして議員は住民ではなく、国(霞が関)の方を向いて仕事をするのが、習い性となっているからだ。地方自治とは形式だけで、国主導の行政運営がまかり通っている。首長・職員・議員の三位一体による住民を置き去りにした地方自治である。

 自治体が独自性を発揮しようとせずに、国のお仕着せを受け入れている限り、首長と議会の間に、意見の食い違いや対立は生じない。政策の中身について議論すること自体があり得ないからだ。配分をめぐる調整がポイントとなり、双方の間で緊張や対立ではなく、融和や癒着の関係が求められる。

 だが、独自な政策を掲げた首長が選挙で選ばれ、なおかつ、首長が公約を実現させようと実際に動き出すと、様相は激変する。それまで執行部側と融和や癒着の関係を保ってきた議会側が、態度を硬化させる。新たな取り組みに異を唱え、激しく抵抗することになる。首長と議会は対立関係になり、にっちもさっちもいかなくなってしまう。ともに是々非々の緊張関係を経験したことがないため、議論を重ねたうえで歩み寄ることができないのである。対立はエスカレートし、二元代表制ではなく、二元対立制に陥ってしまうのである。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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