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17歳で人生の設計図を描いたシューベルト

小栗勘太郎 [音楽愛好家]
【最終回】 2016年4月23日
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 唐突ですが、人生で最も美しい年齢はいつだと思いますか?

 十人十色ですから、様々な答えがあるでしょう。正解がある訳でもありません。生まれたばかりの赤ちゃんの無垢な美しさは格別です。あるいは、百歳を生き抜いた御爺・御婆の皺もまた美しいものです。子どもの溌剌とした輝きにも、壮年の力強さにも、人生の美しさは確かに在ります。

 それでも、子どもから大人への階段を登り始める17歳の美しさは特別です。早春の新緑のような蒼さは眩しく、可能性に満ちています。素晴らしい未来の予感もあります。しかし、現実は厳しく、生半可な可能性や予感なら易々と打ち砕かれてしまいます。理想と現実のギャップに傷つき悩むことも当然あります。未来は何にも約束されていませんが、17歳の時にしか描けない未来の設計図があります。そして、強い意志さえあれば、それを実現することは不可能ではないのです。

 短い生涯で1000曲を超える作品を生み出した天才音楽家フランツ・ペーター・シューベルトの17歳はどうだったのでしょうか。

エリート神学校に進学も放校に

シューベルトの音楽体験が本格化したのは教会だった

 シューベルトは、1797年1月31日、音楽愛好家の学校教師の3男としてウィーン近郊に生まれます。幼少の頃から楽才を示します。6歳になると、父からヴァイオリンを、兄からピアノを教わります。1年もしないうちに何も教えることがないほど驚異的に上達します。7歳になると、地元教会のオルガン奏者のホルツァーから音楽理論、オルガン、歌唱法を学び始めます。ホルツァーは、シューベルト少年の才能は本物と確信します。ピアノ、オルガン、ヴァイオリンに加えボーイソプラノとしても活躍します。そして、11歳になると、宮廷礼拝堂児童合唱団に入団し同時に国立寄宿制神学校に進学します。これは、真に才能のある者だけが入れるハプスブルグ帝国のエリート教育機関でした。ですから、シューベルトの父は、シューベルトが立派な教育者になると非常に喜びます。

 しかし、シューベルトは神学校にいる間に自分の中に在る音楽的衝動に気がつきます。音楽を極めたいという思いが湧いてきます。あの映画「アマデウス」で有名になったサリエリが対位法の教授でした。シューベルトの音楽は熟成していきます。16歳にして交響曲第1番を作曲。ハイドンやモーツァルトの影響が看取されますが、将来を感じさせる立派な音楽です。

 一方、一般教養は苦痛になります。そして、数学で落第してしまいます。また変声期を迎え、ボーイソプラノの高音域は歌えなくなり、合唱団にも居場所がなくなります。遂に神学校を追われるはめになります。要するに、この段階で、シューベルトの音楽的才能は認められてはなかったということです。神学校を退学させられて実家に戻ると、父の失望は大きく、父子の葛藤は相当なものでした。

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小栗勘太郎 [音楽愛好家]

1958年生まれ、牡羊座のB型。某国立大学卒、米国滞在5年。公僕を生業とする音楽愛好家。著書は『音楽ダイアリーsideA』 『同sideB』(西日本新聞社)。『毎日フォーラム』誌にて「歴史の中の音楽」を連載中。


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