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日本を元気にする経営学教室

新興国発・世界の巨大メーカーとどう戦う?
「1軸価値」から「多軸価値」で勝負せよ
早稲田大学ビジネススクール教授 遠藤 功

遠藤 功 [早稲田大学ビジネススクール教授 株式会社ローランド・ベルガー会長],加登 豊 [神戸大学大学院経営学研究科教授],成生達彦 [京都大学大学院経営管理研究部教授],河野宏和 [慶應義塾大学大学院学経営管理研究科委員長 慶応義塾大学ビジネス・スクール校長]
【第9回】 2010年8月9日
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巨大メーカーの出現

 先日発表された世界の粗鋼生産量ランキングを見て、愕然とした。世界最大手はアルセロール・ミタル(ルクセンブルグ)であるが、中国の鞍本鋼鉄集団が中堅2社と経営統合し、世界2位に躍進。その他にも、河北鋼鉄集団が3位、宝鋼集団が4位、武漢鋼鉄集団が6位、江蘇沙鋼集団が7位と世界上位10社の内、実に中国メーカーが5社を占めている。

 しかも、中国にはいまだに鉄鋼メーカー約500社が乱立しており、さらに経営統合が進むことは必至である。中国政府も年産5000万トン級の大手6~7社に再編すると宣言している。

 日本の新日鉄は8位、JFEスチールは9位へと後退。新日鉄の生産量は2430万トンにすぎず、近い将来、日本メーカーはベスト10から姿を消す可能性が高い。

 こうした巨大中国メーカーの誕生は、鉄鋼という素材分野に限らない。たとえば、経済成長と共に中国の家庭用エアコン市場は急速に拡大している。2000年の生産台数は1800万台にすぎなかったのが、2008年には8000万台を超えている。

 日本市場は700万台を切っているので、既に10倍以上の規模である。しかも、総人口13億人から考えれば、設置率はまだまだ低く、今後市場規模がさらに膨らんでいくのは間違いない。

 その中で、中国のトップメーカーのひとつである、格力電器の生産台数は年間2000万台に及ぶ。もちろん世界1の規模である。格力1社だけで、日本の総市場の3倍近い生産量を誇っている。ちなみに、日本の最大手、ダイキンの生産規模は500万台にすぎない。

 そして、こうした潮流はけっして中国だけではない。インドやブラジルといった国々からも、その圧倒的な母国市場の規模を背景に、次々に巨大メーカーが誕生している。日本企業にとって、こうした国々は成長市場としての魅力も高いが、その一方で、まったく「体格」の異なる巨大な競争相手が出現していることに、目を向けなくてはならない。

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遠藤 功(えんどう いさお) [早稲田大学ビジネススクール教授 株式会社ローランド・ベルガー会長]

1956年生れ。79年早稲田大学商学部卒業、三菱電機入社、米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。その後、米系戦略コンサルティング会社を経て、2008年から早稲田大学ビジネススクールのMBA/MOTプログラムディレクターとして、ビジネススクールの運営を統轄。また、欧州系最大の戦略コンサルティング・ファームであるローランド・ベルガーの日本法人会長として、経営コンサルティングにも従事。『MBAオペレーション戦略』『現場力を鍛える』『見える化』など著書多数。

加登 豊(かと ゆたか) [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1953年生れ。78年3月神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程修了、86年4月大阪府立大学経済学部助教授、94年1月神戸大学経営学部教授、99年4月神戸大学大学院経営学研究科教授、2008年4月~10年3月経営学研究科長・経営学部長。『インサイト管理会計』『インサイト原価計算』『ケースブック コストマネジメント』『管理会計入門』など著書多数。

成生達彦(なりう たつひこ) [京都大学大学院経営管理研究部教授]

1952年生まれ。78年横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程卒業、81年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修学、89年米国ノ-スカロライナ州立大学大学院卒業(Ph.D.)、81年南山大学経営学部に就職、94年に教授、同年京都大学博士(経済学)、98年京都大学大学院経済学研究科教授、2006年京都大学大学院経営管理研究部教授、2008年~09年京都大学大学院経営管理研究部研究部長。主著に『ミクロ経済学入門』など。

河野 宏和(こうの ひろかず) [慶應義塾大学大学院学経営管理研究科委員長 慶応義塾大学ビジネス・スクール校長]

1980年慶應義塾大学工学部卒業、82年同大学院工学研究科修士課程、87年博士課程修了、同年慶應義塾大学大学院経営管理研究科助手、91年工学博士、91年助教授、98年教授となる。2009年10月より慶應義塾大学大学院経営管理研究科委員長、慶應義塾大学ビジネス・スクール校長を務める。1991年7月より1年間、ハーバード大学ビジネス・スクールヘ留学。IEレビュー誌編集委員長、TPM優秀賞審査委員、日本経営工学会理事。


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国内市場は成熟化する一方、グローバル化は急速に進展し、新興国の勃興も著しい。もはや、自ら新たな目標を設定し、ビジネスモデルを構築しなくてはいけない時代に突入。にもかかわらず、日本企業には閉塞感が漂う。この閉塞感を突破するにはどうしたらよいのか。著名ビジネススクールの校長・元校長で、経営学のリーダーたちが、リレー形式で、問題の所在を指摘し、変革のヒントを提起する。

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