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デジタル広告進化論

伝統的な広告セオリーが
デジタルで真価を発揮する

桐生 学 [ネットイヤーグループ デジタル広告事業責任者]
【第5回】 2016年4月26日
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 あなたには、記憶に残る広告がありますか?

 「結果にコミットする」(ライザップ)、「そうだ京都、行こう」(JR東海)などのコピーに代表される広告を思い浮かべた方もいるでしょう。

 広告には「レスポンス広告」と「イメージ広告」があります。前者は「機能的・直接的、商品の特徴やメリットが分かり易く説明され、購入など具体的な行動に移してもらうことを目的としたもの」、後者は「情緒的・抽象的、ブランドや商品のイメージを増幅させ、記憶に残すことを目的としたもの」と言われています。

「レスポンス広告」に使われる
心理テクニック

 メリットを直接的に訴求するレスポンス広告のクリエイティブは、作り手の心理学的な見識や意図は別にして、さまざまな心理テクニックが使われています。その一例を紹介しましょう。

・続きが気になる心理を利用した広告
 完了したことよりも途中で中断したことの方が覚えている(未完了課題の方が想起されやすい)という心理「ツァイガルニク効果」を利用した広告で、「つづきはwebへ。」(ライフカード)のキャッチフレーズに聞き覚えがある方も多いのでは。

・禁止されるとやりたくなる心理を利用した広告
 ダメと言われるとむしろ見たくなるという心理「カリギュラ効果」を利用した広告で、「決して、ひとりでは見ないでください」(映画『サスペリア』)や、「初めての方にはお売りできません。」(ドモホルンリンクル)などが有名ですよね。

・言い換えるだけで効果的に感じてしまう広告
 単位を言い換えるだけで大きさや量が異なるように感じてしまう心理「シャルパンティエ効果」や、意味する内容が同じでも認識の心理フレームにより意思決定が異なる心理「フレーミング効果」を利用した広告で、「タウリン1000mg配合!」(リポビタンD)などがあります。“タウリン”より少し一般的な例で考えてみましょう。「レモン100個分のビタミンCを配合」と聞くと、何となく美肌にとても効果がありそうですよね。レモン1個当たりに含まれるビタミンCを20mgとすると、レモン100個分というのは2000mg=2gです。もし「ビタミンCを2g配合」と聞いたら、たったの2g?と感じてしまうかもしれません。

・自然と自分に置き換えてしまう広告
 誰にでも当てはまる要点を取り上げて伝えるだけで、私によく当てはまっているように感じて自然に関心を寄せてしまう=私ごと化する心理「バーナム効果」を利用した広告で、「きれいなおねえさんは、好きですか。」(パナソニック)も、その一つでしょう。広告を見て、「そりゃそうだよね…」「好きです…」などと、つい口にしてしまった方もいるのでは。

 余談ですが、占い師のコールドリーディングのテクニックにもバーナム効果がよく使われています。例えば、相談者の見た目の印象から想像し易いこととは敢えて反対(しかし誰にでも当てはまる)の内面性を取り上げて指摘することで「この占い師には本当の私が見えるのかもしれない…」といった錯覚を起こし易くなります。

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桐生 学 [ネットイヤーグループ デジタル広告事業責任者]

きりゅう まなぶ/GMOインターネットを経て、トランスコスモスに入社。ハンズオンバリューアップ担当としてAD2、Ask.jp等のグループ会社に出向しアドネットワーク事業開発を担当。その後、サンプルマーケティング、アドテクノロジー会社等の役員を経て、2014年よりネットイヤーグループに参画。現デジタル広告事業責任者。

 


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デジタルを使いこなし、日々進化する消費者に対して、企業はどのように接点を持って行けばいいのか。企業はどのメディアに投資すればマーケティングの目的をクリアできるのか。その問いに対して、デジタル広告のプロの視点からアドバイスします。

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