家族の通信費は年間にすると
40万円を超える!?

代表的な例が、通信費だ。一昔前なら固定電話代で数千〜1万円くらいの支出ですんでいたが、今は家族全員が携帯電話を持つのが当たり前。子どもが大きくなって携帯を持つようになると、通信費は増える。

インターネットのプロバイダー料金や有料テレビの視聴料などがかかる場合もある。夫婦と子ども2人という家族構成で全員がスマートフォンを持っていれば、月々の通信費は少なくとも3万5000円ほどにはなるだろう。年間でみれば42万円の支出である。


毎月通信費にいくらかかっているのか、足し合わせてみたことがない人はこの金額にギョッとしたかもしれないが、実際にはもっと通信費が膨らんでいるケースもめずらしくない。

負担がじわじわと重くなっていても、銀行口座からの引き落としやクレジットカード払いになっていると目が届きにくく、家計を圧迫していることに気付かないのだ

ポイント目当てのカード払いで
生活費が把握できなくなる

もう一つ、死角になりやすいのは、妻がクレジットカードで払っている生活費だ。昨今、スーパーなどではポイントが貯まるクレジットカードの利用を勧めており、日々の買い物でクレジットカードを使うのはごく当たり前になっている。

しかし、夫から現金で生活費を渡されている妻が、「先月は食費のうち5万円をクレジットカードで払ったから、その分は返すわ」と言うケースはまずない。夫がクレジットカードの明細をよく見ていなければ、カード払いの分はそのまま「予算超過」になるわけだ。

さて、「現金」「銀行引き落とし」「クレジットカード払い」の3つを合わせた毎月の生活費を、あなたは即答できるだろうか?

「今、ウチの生活費がいくらかかっているか」を把握できていない人は多い。収入が増え、子どもが大きくなるにつれて少しずつふくらんできた生活費が、びっくりするほど高額になっている可能性もある。

次回は、このような生活をしている世帯が年金生活に入ったらどうなるか、というケースを具体的な数字とともにみていこう

深田晶恵(ふかた・あきえ)
株式会社 生活設計塾クルー 取締役。
ファイナンシャルプランナー(CFP)、(株)生活設計塾クルー取締役。1967年北海道生まれ。外資系電器メーカー勤務を経て96年にFPに転身。現在は、特定の金融機関に属さない独立系FP会社である「生活設計塾クルー」のメンバーとして、個人向けコンサルティングを行うほか、メディアや講演活動を通じて「買い手寄り」のマネー情報を発信している。20年間で受けた相談は4000件以上。日本経済新聞、日経WOMAN、レタスクラブ等でマネーコラムを連載、ほかにダイヤモンド・オンラインでの『40代から備えたい 老後のお金クライシス!』のネット連載も好評。
主な著書に『30代で知っておきたいお金の習慣』『投資で失敗したくないと思ったら、まず読む本』『住宅ローンはこうして借りなさい 改訂5版』(共にダイヤモンド社)、『共働き夫婦のための「お金の教科書」』、『図解 老後のお金安心読本』(共に講談社)他多数。