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あれか、これか ― 「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門
【第6回】 2016年4月27日
著者・コラム紹介バックナンバー
野口真人 [プルータス・コンサルティング代表取締役社長/企業価値評価のスペシャリスト]

「隠された価値」を決算書はいつも見逃す

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つかみどころのない「ファイナンス」という学問の本質が知りたければ、その「双子の兄」とも言うべき「会計」と対比すればいい。ファイナンスと会計は、ともに「企業のお金」という同じ対象を扱いながらも、その根底にある考え方は正反対である。ファイナンスによれば、「会計はいつも決定的に重要な価値を見落とす」のだという。その真意とは?

年間500件以上の企業価値評価を手がけるファイナンスのプロ・野口真人氏の新著『あれか、これか――「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門』のなかから紹介していこう。

会計とファイナンス
――まったく似ていない「双子の兄」

前回までの連載では、「モノの価値」の見極め方として「価値は原価で決まる」という考え方(コスト・アプローチ)と「価値は市場の総意で決まる」という考え方(マーケット・アプローチ)の2つを検証し、それぞれの視点の欠陥を指摘してきた。

これらは、あくまでも「目に見えるもの」、端的に言えば価格に注目している。「価格が価値を決める」という発想であり、いわば価格中心の世界観である。

他方でファイナンスは、ブランドのような「目に見えないもの」を価値の源泉だと考える。「価値が価格を決める」という価値中心の世界観で宇宙をとらえようとするのだ。

お金というのは単なる尺度であり、それ自体が価値を決めるものではない。その意味では、ファイナンスのほうが現実に即していると言えないだろうか?

この違いをよりはっきり理解したいのであれば、ファイナンスの「双子の兄」とも言うべき会計(アカウンティング)と対比してみればいい。

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野口真人(のぐち・まひと) [プルータス・コンサルティング代表取締役社長/企業価値評価のスペシャリスト]

1984年、京都大学経済学部卒業後、富士銀行(現みずほ銀行)に入行。1989年、JPモルガン・チェース銀行を経て、ゴールドマン・サックス証券の外国為替部部長に就任。「ユーロマネー」誌の顧客投票において3年連続「最優秀デリバティブセールス」に選ばれる。

2004年、企業価値評価の専門機関であるプルータス・コンサルティングを設立。年間500件以上の評価を手がける日本最大の企業価値評価機関に育てる。2014年・2015年上期M&Aアドバイザリーランキングでは、独立系機関として最高位を獲得するなど、業界からの評価も高い。これまでの評価実績件数は2500件以上にものぼる。カネボウ事件の鑑定人、ソフトバンクとイー・アクセスの統合、カルチュア・コンビニエンス・クラブのMBO、トヨタ自動車の優先株式の公正価値評価など、市場の注目を集めた案件も多数。

また、グロービス経営大学院で10年以上にわたり「ファイナンス基礎」講座の教鞭をとるほか、ソフトバンクユニバーシティでも講義を担当。目からウロコの事例を交えたわかりやすい語り口に定評がある。

著書に『私はいくら?』(サンマーク出版)、『お金はサルを進化させたか』『パンダをいくらで買いますか?』(日経BP社)、『ストック・オプション会計と評価の実務』(共著、税務研究会出版局)、『企業価値評価の実務Q&A』(共著、中央経済社)など。


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