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あれか、これか ― 「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門
【第14回】 2016年5月10日
著者・コラム紹介バックナンバー
野口真人 [プルータス・コンサルティング代表取締役社長/企業価値評価のスペシャリスト]

なぜ旧友には100万円貸せないのか?
ファイナンス理論の基本「金利」についてまなぶ

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旧友がいきなり訪ねてきて「何も言わないで100万円貸してくれ。絶対に返す」と言ってきたとしたら、あなたはどうするだろうか? 一方で、私たちは平気で銀行に100万円を「預けて」いる。考えてもみると不思議ではないだろうか。

大反響・早くも重版決定!! 年間500件以上の企業価値評価を手がけるファイナンスのプロ・野口真人氏の新著『あれか、これか――「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門』のなかから、ファイナンスにおける「金利」の考え方について紹介していこう。

現在価値は「金利」が左右する

前回の記事でも見たとおり、あと50年は貸し出せる新築マンションと、30年しか貸し出せない中古マンションの価値は(両者の家賃が同じだと仮定しても)それほど大きく変わらない。
新築のほうが20年も長く貸し出せるのに、なぜ中古とさほど価値が違わないのだろうか?

答えから言えば、これは「金利」が存在するからだ。ある程度の金利が存在する世界では、キャッシュフローの継続期間が長くなっても、その現在価値はあまり増えない。この事例では金利は6%と仮定していた。
それに基づいて現在価値を割り出すと、50年後にもらえる300万円は、現在から見ればなんと約16万円の価値しかないのである。

年間のキャッシュフローとその現在価値(金利6%で計算した場合)

考えてもみてほしい。あなたがいま35歳の男性なのだとすれば、50年後に300万円を受け取るときには85歳。日本人の平均寿命を考えれば、もうこの世の中にいない可能性のほうが高い。

新築マンションが100年後にキャッシュフローを生むのだとしても、100年後の300万円は1万円にも満たない。どんなに長生きする人でもまず間違いなく死んでいるだろう。

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野口真人(のぐち・まひと) [プルータス・コンサルティング代表取締役社長/企業価値評価のスペシャリスト]

1984年、京都大学経済学部卒業後、富士銀行(現みずほ銀行)に入行。1989年、JPモルガン・チェース銀行を経て、ゴールドマン・サックス証券の外国為替部部長に就任。「ユーロマネー」誌の顧客投票において3年連続「最優秀デリバティブセールス」に選ばれる。

2004年、企業価値評価の専門機関であるプルータス・コンサルティングを設立。年間500件以上の評価を手がける日本最大の企業価値評価機関に育てる。2014年・2015年上期M&Aアドバイザリーランキングでは、独立系機関として最高位を獲得するなど、業界からの評価も高い。これまでの評価実績件数は2500件以上にものぼる。カネボウ事件の鑑定人、ソフトバンクとイー・アクセスの統合、カルチュア・コンビニエンス・クラブのMBO、トヨタ自動車の優先株式の公正価値評価など、市場の注目を集めた案件も多数。

また、グロービス経営大学院で10年以上にわたり「ファイナンス基礎」講座の教鞭をとるほか、ソフトバンクユニバーシティでも講義を担当。目からウロコの事例を交えたわかりやすい語り口に定評がある。

著書に『私はいくら?』(サンマーク出版)、『お金はサルを進化させたか』『パンダをいくらで買いますか?』(日経BP社)、『ストック・オプション会計と評価の実務』(共著、税務研究会出版局)、『企業価値評価の実務Q&A』(共著、中央経済社)など。


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