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あれか、これか ― 「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門
【第17回】 2016年5月13日
著者・コラム紹介バックナンバー
野口真人 [プルータス・コンサルティング代表取締役社長/企業価値評価のスペシャリスト]

下がり続ける銘柄は「リスクが低い」?
ファイナンスにおける「リスク」の考え方

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ファイナンス理論に従えば、「ずっと値下がりを続けている株は、むしろリスクが低い」ということになる。これは、私たちの通常のリスク概念からすれば、少々意外に感じられるかもしれない。なぜそうなるのだろうか?

売れ行き好調のファイナンス理論入門書『あれか、これか――「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門』のなかから紹介していこう。

「好ましいリスク」を味方につける

前回の記事で見たとおり、「リスクは危険性ではなく不確実性である」――これがファイナンスにおけるリスクの第1の特徴だった。もう1つの誤解されがちなのが、「リスクとは悪い結果に関する不確実性だ」ということである。

ファイナンス理論におけるリスクの概念は、あくまでも予想した事象に関する不確実性であり、その結果の良し悪しについては完全に中立である。つまり、ファイナンスが考えるのはダウンサイド・リスクだけではない。むしろ、ダウンサイド・リスクは理論の中心ではないとすら言える。

予想よりもいいことが起きる可能性、すなわちアップサイド・リスクこそがファイナンスの真骨頂なのだ。人生の選択は、この「望ましいリスク」をどれだけ味方につけられるかにかかっていると言っても過言ではない。

ファイナンス理論がアップサイド・リスクにも注目するのは、債券取引や貸付だけが投資のすべてではないからだ。

たとえば、不動産投資であれば、月々の家賃収入だけでなく、不動産そのものの価格上昇の余地がある。購入したときよりも高い値段でマンションを売れる可能性もあるという意味で、不動産投資にはアップサイド・リスクがある。そのほかにも、外国為替投資(FX)やオイル・金・穀物のような商品投資なども、値動きによって得をする可能性がある。

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野口真人(のぐち・まひと) [プルータス・コンサルティング代表取締役社長/企業価値評価のスペシャリスト]

1984年、京都大学経済学部卒業後、富士銀行(現みずほ銀行)に入行。1989年、JPモルガン・チェース銀行を経て、ゴールドマン・サックス証券の外国為替部部長に就任。「ユーロマネー」誌の顧客投票において3年連続「最優秀デリバティブセールス」に選ばれる。

2004年、企業価値評価の専門機関であるプルータス・コンサルティングを設立。年間500件以上の評価を手がける日本最大の企業価値評価機関に育てる。2014年・2015年上期M&Aアドバイザリーランキングでは、独立系機関として最高位を獲得するなど、業界からの評価も高い。これまでの評価実績件数は2500件以上にものぼる。カネボウ事件の鑑定人、ソフトバンクとイー・アクセスの統合、カルチュア・コンビニエンス・クラブのMBO、トヨタ自動車の優先株式の公正価値評価など、市場の注目を集めた案件も多数。

また、グロービス経営大学院で10年以上にわたり「ファイナンス基礎」講座の教鞭をとるほか、ソフトバンクユニバーシティでも講義を担当。目からウロコの事例を交えたわかりやすい語り口に定評がある。

著書に『私はいくら?』(サンマーク出版)、『お金はサルを進化させたか』『パンダをいくらで買いますか?』(日経BP社)、『ストック・オプション会計と評価の実務』(共著、税務研究会出版局)、『企業価値評価の実務Q&A』(共著、中央経済社)など。


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