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イノベーション的発想を磨く

「縮小市場で生き残る」勝てる営業組織のつくり方

~『キリンビール高知支店の奇跡』(田村潤著)を読む

情報工場
【第17回】 2016年5月14日
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奇跡のV字回復実現の裏に、営業組織の改革があった

 右肩上がりの経済成長が一段落し、社会全体が成熟に向かっているといわれる。だが、その成熟した市場を奪い合う企業間の競争はしだいに激しさを増しているように感じる。

 たとえば最近ではソニーや任天堂の凋落、シャープの破綻などが取り沙汰されるが、かつて一世を風靡したヒット商品のある優良企業であろうとも、その成功にあぐらをかき市場の動きに鈍感になると、すぐにライバル企業に市場を奪われ、あっという間に業績を悪化させてしまう時代のようだ。

 ビール業界をみても、かつてキリンビールは、「キリンラガー」という圧倒的に強い商品を中心に、40年以上の長きにわたって市場シェア1位を維持してきた、いわば業界のガリバーだった。しかし、アサヒビールが「スーパードライ」という「キリンラガー」とは違う味わいの商品をヒットさせ、急速にシェアを伸ばしてきた。キリンビールは追い上げられ、2001年にはついに首位の座を奪われてしまった。

 さらにその後、発泡酒や第三のビールを含めた国内のビール系飲料の出荷量が2006年をピークに減少傾向へと転じる。そんな中で、縮小する市場での生き残りをかけたビール各社による競争は、さらに激しくなっている。

 競争に勝つのに、技術力や商品力はもちろん重要だ。しかしそれ以上に、戦略的に市場にアプローチして自社商品に何が求められているかを把握し、商品づくりに反映させたり、顧客を囲い込むために自社商品の良さを市場に訴求するための「営業力」が重要な時代になってきたようだ。

『キリンビール高知支店の奇跡』
田村 潤著
講談社+α新書 188p 780円(税別)

 本書の著者である田村潤氏は、元キリンビール株式会社代表取締役副社長。1995年に支店長として高知に赴任した後、四国4県の地区本部長、東海地区本部長を経て、2007年に代表取締役副社長兼営業本部長に就任。全国の営業の指揮を執り、2009年にはキリンビールの首位奪回を実現した人物だ。

 本書は、その田村氏が高知支店長として小さな営業現場の改革から始めて、そこで得たノウハウをベースに四国4県の本部長として業績をV字回復。さらに東海地区本部長、そして最終的には代表取締役営業本部長として全社の営業の風土の改革に成功し、キリンビールが再び業界1位の座を奪い返すまでのドキュメンタリーだ。

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浅羽登志也

情報工場シニアエディター。1989年、京都大学大学院修士課程修了後、リクルート入社。同社スーパーコンピュータ研究所にてインターネットに関する研究に従事。1992年、株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)に創業メンバーとして入社。インターネット黎明期からサービス開発・技術開発に携わる。IIJは、日本で最初にインターネット接続の商用サービスを開始したインターネットサービスプロバイダで2006年12月東証一部上場。1999年、IIJ取締役、2004年より2009年までIIJ取締役副社長。2008年より2015年までIIJイノベーションインスティテュート代表取締役社長。2015年7月よりIIJフェロー。情報編集にも興味を持ち、2007年より松岡正剛氏主催のイシス編集学校で松岡流編集術を学ぶ。現在イシス編集学校の師範を務める。2010年に軽井沢へ転居。自然農法で、自家用の蕎麦や大豆を栽培中。

 


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