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社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

ベッキー復帰劇に欠けていた視点

竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]
【第156回】 2016年5月17日
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 13日の金曜日、しかも仏滅という、自分の人生をかけた勝負時にはあまり選びたくないような日の夜に、テレビ復帰したタレントのベッキー。このタイミングでの復帰についての是非については論じないが、芸能スキャンダルには関心のないビジネスパーソンにとっても、企業やビジネスのコミュニケーション戦略という点ではケーススタディとなると思うので、その視点からの論評を行なっておく。

ベッキー・バッシングの
「問題の本質」はどこに?

 まず今回のベッキーの件では、一般に(マスメディアでもネットでも)ベッキーの「不倫問題」とされているが、問題の本質はそこにはない。もちろん不倫は世間的に許されるものではないが、不倫が大きな社会的問題になるかどうかは、そのシチュエーションや立ち位置による。

 例えば、今年年初に起きた宮崎謙介衆院議員(当時)の「イクメン・ゲス不倫事件」は、イクメンという「政策」を推進している国会議員が、こともあろうに妻が臨月の状態で自宅に女性を引き込んで不倫した事件で、これは不倫そのものが問題となるケースだった。国会議員が国家の政策そのものを否定し、愚弄する行為だから大きな非難を浴びるのは当然だし、議員辞職もやむなしのケースだったと思う。

 しかし、芸能人の場合は、不倫そのものが問題になるかどうかは、それこそケース・バイ・ケースである。それが証拠に、タレントのなかには妻帯者でありながら浮気を繰り返すダメ夫ぶりをキャラクターにしている男性タレントもいて、夫婦でバラエティ番組に出演して、夫が浮気の話をして妻がそれをなじるといったトークを堂々とテレビで放映しているが、そのことについてマスメディアも批判はしていないし、ネットで炎上もしていない。

 ベッキーのケースも、ゲスの極み乙女。の川谷絵音との不倫が問題だとされているが、これはたしかに芸能スキャンダルではあるが、ベッキー・バッシングの本質は実はそこにはない。誤解を恐れずに言えば、不倫そのものが問題とされた(批判された)のではなく、週刊文春の不倫報道のなかで出てきた、ベッキーと川谷とのLINEでのやり取りの中身に対する批判であり、嫌悪感である。

 もちろん不倫を擁護するワケではないが、この件でのベッキー批判の本質は、川谷との不倫そのものではなく、週刊文春が暴露した2人のLINEでのやりとりにある。「(記者会見は)友達で押し通す」「これで(文春報道で)かえって堂々とつきあえる」といった表現があったが、とくに「ありがとう文春!」「ありがとう、センテンス・スプリング!」という「言い方」に、多くの国民はカチンときたのだと思われる。

 これは例えて言えば、「明るく清純なイメージの生徒会長の女子高生が、体育館の裏で不良男子と一緒に気にくわない下級生女子にヤキを入れていた場面を見られてしまった」みたいな話であって、それまでのイメージと、やってること、言ってることのギャップの大きさが、今回のバッシングの本質だ。仮にベッキーがどうしようもないダメ女キャラ、不良キャラで売っていたとしたら、不倫もLINEでのやり取りも、ここまで大きな問題にはなっていないはずだ。事実、ベッキー批判が大きくなったのは、川谷との不倫報道そのものより、2人のLINEでのやりとりを文春が暴露して以降のことである。

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竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

マーケティング・コンサルタントとしてクルマ、家電、パソコン、飲料、食品などあらゆる業種のトップ企業にて商品開発、業態開発を行なう。近年は領域を社会貢献に特化し、CSRコンサルタント、社会貢献ビジネスの開発プランナーとして活動。多くの企業にてCSR戦略、NGOのコミュニケーション戦略の構築を行なう。「日本を社会貢献でメシが食える社会にする」ことがミッションに、全国各地で講演活動を行なう。ソーシャル系ビジネスコンテストや各種財団の助成金などの審査員多数。また、「日本の女子力が世界を変える」をテーマに、世界の女性、少女をエンパワーメントするための団体「ガール・パワー(一般社団法人日本女子力推進事業団)」を、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏、日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカ氏らと共に設立。著書に『社会貢献でメシを食う。』『ジャパニーズスピリッツの開国力』(いずれもダイヤモンド社)がある。

株式会社ソーシャルプランニング
☆竹井氏ブログ 社会貢献でメシを食う〝REAL(リアル)〟
☆Twitterアカウント:takeiyoshiaki


社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

CSRやコーズマーケティングをはじめ、「社会貢献」というテーマがポピュラーとなったいま、「社会貢献のセカンドウェーブ」が来ている。新たなサービスやプロジェクトのみならず、新たな主役たちも登場し始めた。当連載では話題の事例を取り上げながら、社会貢献的視点で世の中のトレンドを紹介していく。
*当連載は、人気連載『社会貢献を買う人たち』のリニューアル版として、2014年1月より連載名を変更しました。

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