闇株新聞[2016年]
2016年5月18日公開(2016年9月29日更新)
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正体は明かしていない。
人気ブログ「闇株新聞」で「オリンパス事件」「AIJ投資顧問事件」といった経 済事件をきっかけに、信頼のおける解説でコアな読者をつかんでいる。 ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン(DPM)で有料メルマガ『闇株新聞プレミアム』を配信。
著書に『闇株新聞 the book』(ダイヤモンド社)など。

闇株新聞[2016年]

闇株新聞編集部
 

『闇株新聞』は、新聞、雑誌などの大メディアの経済記者や金融業界関係者、プロ級の個人投資家がひそかに情報源にしている。連載『週刊闇株新聞』では、ダイヤモンド社グループの有料メルマガ・DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)『闇株新聞プレミアム』で配信しているディープな闇株的考察のダイジェストや「闇から暴く相場の真実」というスタンスのもと株、為替、日本国債、世界経済の今後などについて解説していきます。

闇株新聞編集部

「シャープ」と「三菱自動車」、負け組として
外資の傘下に入った両社を待つ悲惨な運命とは?闇株新聞が考察する「徹底的な負け組」企業の今後

金融のプロも愛読する刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』には「今後の株式市場の勝ち組・負け組を考える」という人気シリーズがあります。最新号(2016年5月16日発行)では燃費データ不正を契機に日産自動車の傘下に入ることになった三菱自動車(7211)と、鴻海グループの傘下に入ったシャープ(6753)を取り上げています。闇株新聞いわく「両社とも徹底的な負け組」であり、今後は「外資企業にいいように翻弄される運命が待っているだけ」とのこと。歴史ある大企業の未来は如何に!?

 今週は「悲惨な運命しか待っていない三菱自動車」と「早くも悲惨な運命が見えてきたシャープ」を取り上げます。

 まず、外資傘下に入ったとはいえ(日産もルノー傘下の外資です)両社とも現時点ではその外資から未だ1円も投資資金を受けていません。にもかかわらず、すでに過半数の取締役を受け入れるなど「無条件降伏」です。

 本来なら一般株主のために主張すべきところは主張して「交渉」しなければならないところですが、シャープ経営陣は「偶発債務」、三菱自動車経営陣は「燃費データ不正」の問題を覆い隠すため、どんな条件も呑んだのでしょう。

 すべては問題を引き起こした現経営陣の無能さと保身のためであり、一般株主の利益など全く顧みられていません。両社はその背景が驚くほどに似通っており、今後も似たような未来を辿るでしょう。ひょっとすると「負けっぷり」が少し軽減されるかもしれませんが、あまり期待しないことです。

資金を受け取る前に取締役ポストを明け渡し
鴻海のやりたい放題を許すシャープの絶望

 5月12日に発表されたシャープの2016年3月期連結決算は、営業収益が1619億円の赤字、最終純損益が2559億円の赤字となり、期末には312億円の債務超過に転落しました。この5年間の累計の赤字額は、何と1兆3880億円にも上ります。

 この間、総額1080億円の公募増資(2013年10月)や2250億円の優先株発行(2015年6月)など必死の資本増強を繰り返すも債務超過は免れず、本年2月25日に総額4890億円の第三者割当増資(1株=118円)で鴻海に議決権の66%を売り渡し、傘下入りが決まりました。

参考:「鴻海、シャープ買収決定も、まだまだ終わりじゃない! Xデー「6月28日」以降に何を仕掛ける!?」(2016年4月4日公開記事)

参考:「鴻海(ホンハイ)傘下入り目前のシャープがしっぺ返しを食らいそうな巨額債務の存在」(2016年3月3日公開記事)

 ところが、機関決定の前日に「3500億円規模の偶発債務」が発覚、剛腕・郭会長に資本注入額を3888億円に減額されます。その上、まだ1円も払い込んでいない段階で取締役9人中社長含む6人を送り込まれ、現経営陣も1人を残し高橋社長以下全員を放逐。「手を付けない」と公言していた3000人規模の人員整理にも取り掛かると表明するなど、すっかり手の内に入れてしまいました。

 確かに鴻海は増資の保証金1000億円は支払ったようですが、それも使途を厳しく限定し、交渉が破談になればその金で液晶部門を買い取れる条項を設定していたようです。こういう状態になれば、もう鴻海にとってはもう何のリスクもありません。すでにシャープは完全に鴻海の支配、やりたい放題の状態になってしまいました。

 残念ですが、もう鴻海のやりたい放題を食い止める方法は残されていません。こうなったら過去5年で1兆3880億円の赤字を垂れ流したシャープを、郭会長がわずか3888億円の投資でどこまで立て直せるものか、お手並み拝見するしかないでしょう。

 郭会長はシャープの高精細・省エネルギー液晶「IGZO」に期待しているようですが、実は「IGZO」の特許はすべて開発を支援したJST(科学技術振興機構)が保有しており、シャープは2012年に実施権を取得しているだけです。またこの実施権はシャープの占有ではなく、サムスンも取得しているはずです。郭会長が「IGZO」を過大評価しているとすれば、ここに波乱の要因があるかも知れません。

日産の皮を被ったルノーにまんまと騙され
三菱自動車を差し出す三菱グループのお人よし

 燃費データ不正に揺れる三菱自動車は5月12日、日産自動車に発行済み株式の34%を2370億円で売り渡すことで、傘下に入ることを発表しました。三菱自動車経営陣が日産傘下入りをこうも急いだ理由は、彼らが燃費データ不正に関する刑事責任の追及を免れたいという思惑があったからでしょう。

 現在の日産自動車はフランス政府が大株主であるルノーの傘下であり、粉うことなき外資企業です。外資企業の問題となれば少なくとも日本の捜査当局は手を付けず、単なる賠償責任で終わってしまうはずです。

 日産自動車(言い換えればフランス政府とカルロス・ゴーン)にとっては、いま三菱自動車を取り込めば、技術力のある日本企業を買い叩くハゲタカではなく、自浄能力のない再生困難企業に救いの手を差し伸べる「支援者」のイメージを植え付けることができます。

 ところで今回の燃費データ不正は小型車の共同開発を行う日産自動車が発見・通報したことで発覚した形になっています。しかし、三菱自動車が製造した当該の小型車はOEM供給で日産のマークを付けても販売されているのです。日産自動車に責任がないとは絶対に言い切れません。

 さて、今後の三菱自動車を待ち受ける未来は惨憺たるものになるでしょう。1999年に日産自動車を傘下にしたルノーが、どれだけ日産自動車を食い物にしてきたかはこれまで本連載でも、本紙「闇株新聞プレミアム」でも幾度か取り上げてきました。

参考:「【緊急提言!】今すぐ日本政府主導で仏政府が画策するルノーと日産の合併を阻止せよ!」(週刊闇株新聞・2015年11月3日公開記事)

参考:「フォルクスワーゲン不正問題は、日本のチャンス! 今こそ日産自動車をルノーから取り戻せ」(週刊闇株新聞・2015年10月2日公開記事)

 例えば、もともとルノーが行う予定だった巨額設備投資の資金をいったん三菱自動車株の取得のために使い、経営陣を送り込むなど意のままにできる状態にしてから「三菱自動車の事業として」当初の設備投資を行えばどうでしょう?

 ルノーにとっては一切懐を痛めることなく三菱自動車も工場等の設備も手に入ります。これはルノーが日産自動車にロシア・アフトバスを買収させたり、モロッコにタンジール工場を建設させたときに使った手口。まさに無から有を生じる錬金術となります。

 全く理解できないのが、三菱グループの姿勢です。2005年に優先株を含む6000億円以上の金融支援を行ったもののほとんど投資収益も得ておらず、現在も34%の議決権を保有していながら何の抵抗もしていません。むしろ日産自動車による買収を歓迎しているフシまであります。

 ルノーは濡れ手に粟であるのに、三菱グループは何の対価も得ずに三菱自動車を譲り渡そうとしています。しかも、第三者割当増資により三菱自動車における三菱グループの議決権は22.4%ほどまで低下します。おまけに「三菱グループとして協力を惜しまない」などと表明し、お人よしもいいところです。

 三菱自動車もシャープと同じく、投資資金を1円も受ける前から取締役ポストの過半数を明け渡そうとしています。決定は6月の株主総会での承認を受けてからなので、まだ「手遅れ」ではありません。

 三菱グループが裁判所に申し出て、今回の増資に「株主総会の特別決議が必要」としてもらえれば、まだ日産(の後ろにいるルノー、すなわちフランス政府とカルロスゴーン)が議決権を得る前なので三菱グループは拒否権を行使し、これを否決できます。

 あるいは日産自動車に新株引受けではなく、三菱グループが保有する三菱自動車株の全てをプレミアム付きで引き取らせ貸付金も回収し「三菱グループとして一切の関係を断つ」と通告すべきです。

 天下の三菱グループには、日本経済と日本の株式市場のために、たまにはまともな行動を取る義務があるはずです。これは三菱自動車だけの問題ではなく、日本企業としての三菱グループ全体の姿勢とプライドの問題なのです。

 熾烈な競争を繰り広げる世界企業にとって技術力とブランドのある日本企業は喉から手が出るほど欲しいところ。そうした中、不正や経営の躓きから弱みを見せた企業は外資企業に狙われる格好の餌食となります。それも市場の理なれど、日本企業が日本人の窺い知らないところで外資のいいように搾取され、好き放題にされるのを黙って見ているわけにはいきません。

「闇株新聞」はこれからも見通しの利かない闇に目を利かせ、市場にうごめく影を追ってまいります。本連載でご紹介できるのは闇のほんの入り口まで。より深く、より早く、より詳しく――市場の闇をご覧になりたい方は是非、金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」の御購読をご検討ください。

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