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超ロジカル思考 発想トレーニング

リー・クアンユーの常識外の発想がシンガポールの繁栄を築いた

高野研一 [コーン・フェリー・ヘイグループ 代表取締役社長]
【第9回】 2016年5月19日
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Photo:Reuters/Aflo

 今回紹介する天才は、「シンガポールの哲人」と呼ばれたリー・クアンユーである。リー・クアンユーはシンガポールの初代首相である。1965年にマレーシアから追放される形で独立して以降、東南アジアの中心、マラッカ海峡の交通の要衝としての立地を活かし、シンガポールを世界経済のハブにまで押し上げた。いまやシンガポールの一人当たりGDPは、日本を上回るまでになっている。

 それだけではない。華僑人脈を駆使し、世界中の情報に通じるとともに、独自の洞察力を持つことから、各国の政治家がリー・クアンユーにアドバイスを求めてきた。古くはリチャード・ニクソンやヘンリー・キッシンジャーが中国との国交を正常化した時期から、最近のバラク・オバマ大統領に至るまで、リー・クアンユーに会うためにシンガポールを訪れてきた各国政治家は少なくない。

国民の資産形成を進め
英語教育でグローバル人材化

 独立当初は、天然資源どころか水すらも十分にない島国を預かり、リー・クアンユーは不眠症で倒れ込むこともあったという。しかし、その後、「他の国が必要とする国になる」「我々にあるのは戦略的な立地条件と、それを活かすことのできる国民だけだ」というモノの見方に至り、次々と施策を具現化していく。

 1950~60年代は、国民の貯蓄促進と住宅開発に注力する。リー・クアンユーは、他の国が必要とする国になるためには、まず国民一人ひとりが自立し、社会的責任を担える健全な精神を養うことが重要だと考えた。そのためには安定した生活基盤が必要であり、給与から一定割合を国が天引きし、強制的に貯蓄させる制度を導入した。

 リー・クアンユーは、こうした形で強制的な施策を実行に移すことから、国民からの人気は必ずしも高くない。しかし、それによって、国民の資産は自然に形成されていくこととなった。また、国が良質な住宅を大量に供給し、多くの国民が貯まったお金を頭金にマイホームを持てるようにした。そして、子供の世代に依存しなくても生活していける社会環境を実現したのだ。

 70~80年代に入ると、今度は教育政策に注力するようになる。まずは「正しい中国語を話そうキャンペーン」を、次いで「正しい英語を話そうキャンペーン」を立て続けに打っていった。

 シンガポールの戦略的立地条件を活かそうとすれば、グローバルに事業展開する企業のアジア拠点を誘致することが最も効果が高い。そのために、最初は華僑系の企業を、次には欧米の企業をターゲットとし、国民のエンプロイヤビリティを高めようとしたのだ。

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高野研一[コーン・フェリー・ヘイグループ 代表取締役社長]

たかの・けんいち/神戸大学経済学部、ロンドン・スクールズ・オブ・エコノミクス(MSc)、シカゴ大学ビジネススクール(MBA)卒。大手銀行でファンドマネジャーを経験した後、コンサルタントに転じ、マーサー・ジャパン取締役等などを経て現職。『超ロジカル思考』(日本経済新聞社)、『ビジネスリーダーの強化書』(日本経団連出版)、『勝ちグセで企業は強くなる』『グループ経営時代の人材マネジメント』(ともに東洋経済新報社)など著書多数。


超ロジカル思考 発想トレーニング

変化が激しく、先が見えない世界でビジネスを行う場合、ロジカルに最適解を求めようとしても出てこないことが往々にしてある。そうした「正解のない世界」を勝ち残ってきたビジネスの天才たちは、どのような能力を持っているのか。我々がロジックを超えた直観力を身につけるには、どうすればいいのか。

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