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舛添都知事ら大物政治家ほど「せこい」事件を起こす理由(下)

松井雅博 [政治ジャーナリスト]
2016年5月24日
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>>(上)より続く

当選してしまえば政治家も役人と同じ
「使わねば損」という慣習が諸悪の根源

 とはいえ、多額の報酬をもらっている政治家が、なぜ政治資金を使ってしまうのか。

 実は、この問いの答えは「使わねば損」という発想があると筆者は考えている。

 これは都知事よりもむしろ、実は議員の方にあてはまると思う。実際、千葉県のホテルでの宿泊費を「会議費用」の名目で政治資金から流用していたのは、舛添都知事が都知事になる前の出来事である。

 議員の場合、政党交付金が受けられるが、これは使途が定められている。一方、自分で作った政治団体へ寄附でもらうお金については別に何に使おうが自由である。だから、政党交付金もいったん管理口座に入れた後、政治団体へ寄附してしまえば、何に使ってもいいお金に変わる。そうやって使い切ってしまわないと、政党交付金が余った場合、返金しなければいけなくなってしまうのだ。

 だから、舛添都知事はかつて代表を務めた新党改革に振り込まれた政党交付金を自分の政治団体に寄附することで、「返金しなくていいお金」に変えたのだ。このこと自体は多くの議員がやっていることである。

 この「使わねば損」という発想は、役所が年度末になると不要な道路工事を発注する構図と似ている。一度得た予算は使い切らないと「余っている」と思われてしまう。

 一時期、国会議員のお小遣いと批判された、月100万円支払われる文書通信費についても、理屈は同じである。現在、いまだ文書通信費の使い道は公開する必要がないが、これはなぜかと言えば、多くの政治家は「特に使い道がないので、選挙費用にあてるために貯めているだけ」だからだ。

 もし、これを毎月の使い道を公開しなくてはいけなくしたら、ほとんどを使わずに貯金していることがバレてしまう。おおさか維新の会の国会議員達は文書通信費の使い道を公開しているので、眺めてみるとよくわかるだろう。結局、もらえるお金は「使わねば損」という発想なのだ。

 自称改革派の政治家は、決まって役所の非効率や役人の無駄遣いを批判するが、政治の世界を内部から見てきた経験から言えば、むしろより改革が必要なのは政治の世界の方だ。

 公務員の人件費や人口あたり公務員数を国際比較しても、日本はOECD諸国中で見ればけして高い方ではない(もちろん天下りなど解決すべき問題はあるが)。むしろ諸外国と比べて際立って高いのは議員の歳費であり、東京都知事もおよそ2000万円の年収に加え、600万円以上ものボーナスまでもらえる高所得な職業だ。

 本来、役所の無駄遣いをただす立場にある議員が「使わねば損」「親方日の丸」「お金は天から降ってくる」という発想に毒されているようでは、役人を批判できない。まずは議員自らが議員定数を見直し、自分たちの報酬を削減し、政治活動に使ったお金はきちんと公表し、説明責任を果たすというように「襟を正す」ことが大切だ。

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松井雅博[政治ジャーナリスト]

まつい・まさひろ/1979年6月14日生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。工学・教育学の2つの修士号を持つ。国家公務員1種法律職試験合格(政策秘書資格取得)。国連英検A級。マッキンゼーアンドカンパニーなどグローバル企業での勤務を経て、国会議員政策担当秘書として政界へ飛び込む。35歳の若さで、第47回衆議院議員選挙に兵庫10区(加古川市、高砂市、稲美町、播磨町)より出馬し、5万1316票を獲得するも落選。一民間人の感覚で政治の現場や裏側を見た経験を活かし、これまでブラックボックスだった政治の世界をできる限りわかりやすく面白く伝えることに情熱を燃やす。


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