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日本の対中外交姿勢は遣唐使の時代に回帰している

スティーブン・ナギ [国際基督教大学准教授]
2016年5月26日
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日本の対中外交アプローチは遣唐使の時代の、衝突や不和を和らげたり無効にする方向に回帰している

強大化する隣国といかにして
支配されずに付き合っていくか

 最新の言論NPOの世論調査(PDF)からは、日本人の中国に対する親近感が次第に減少しており、中国人の日本への好感も次第に減少していることが確認できる。同調査によれば、この流れは早くは2005年から始まっていたが、歴史的視点からも、日中関係では日本が決まって抑制的な態度を堅持するため、関係は概ね抑圧的、あるいは慎重だったといえる。

◆日中相互の印象

出典:2015 GENRON 第11回日中共同世論調査(2015年)p.4

 第二次大戦後の国際社会における日本の模範的な行動や、ODA、その他の援助にもかかわらず、中国は政治目的のために歴史問題を利用し続けている。また、かつての帝国主義を反省しない日本、謝罪しない日本を非難し続けてもいるが、これら感情に根ざした認識に対して、日本側は現代的な説明を行っている。日本側にとっては、東シナ海や南シナ海における中国の軍備拡張とその意図することが、本心からの懸念となっている (http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000011300.pdf, http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/higashi_shina/tachiba.html)。

◆日本人の中国への良くない印象の理由

2015 GENRON 第11回日中共同世論調査(2015年)p.7

 同調査によれば、中国人の日本観が悪化する原因は安倍首相の歴史観にあり、また現象面では日本政府による軍備拡張、とりわけ尖閣諸島の国有化に起因している、とされる。

◆中国人の日本への良くない印象の理由

出典:日中関係の分岐:2015 GENRON 第11回日中共同世論調査(2015年)p.7

 こうした問題は、将来も長く残るだろう。中国経済が成長し続けた場合、地域における日本のポジションは中国と比較して相対的に低くなり、その位置は固定化するだろう。私たちが問うべきは、日本が東アジアにおいてそのポジションを維持する方法だけでなく、将来において、GDPが3倍から4倍になるとみられる中国経済による支配を阻む方法ではないだろうか。この点は、将来、この地域での日本の相対的地位を弱めるかもしれない、人口減少など数多くの国内的難題に日本が直面する場合、特に重要である(http://www.nippon.com/ja/in-depth/a01001/)。

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スティーブン・ナギ [国際基督教大学准教授]

1971年カナダ生まれ。2007年早稲田大学アジア太平洋研究科のリサーチ・アソシエイト、2009年香港中文大学日本研究学科助教授に就任、2014年より現職。早稲田大学「アジア地域統合のための世界的人材育成拠点」シニアフェロー、 香港中文大学香港アジア太平洋研究所国際問題研究センター研究員を兼任。研究テーマは東北アジアの国際関係、日中関係、アジアの地域統合及び地域主義、非伝統的安全保障、人間安全保障、移民及び入国管理政策。


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