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実例で知る! 他人事ではない「男の離婚」 露木幸彦

父危篤に「命より養育費・慰謝料」!
元妻の強欲に出戻り男性が見た地獄(下)

露木幸彦 [露木行政書士事務所代表]
【第30回】 2016年5月28日
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>>(上)より続く

 あとは直樹さんが元妻に支払っている養育費、慰謝料を切り詰めるしかありませんが、例えば、養育費を半減してもらい(毎月10万円から5万円へ)、さらに慰謝料は免除(毎月3万円から0円)してもらえば、ようやく家計はトントンに落ち着き、父親が退院した後に発生するであろう赤字を前もって食い止めることができます。

 何はともあれ、直樹さんが元妻と話をしなければ始まりませんが、直樹さんは離婚してから3年間、元妻に全くといっていいほど連絡をとっていませんでした。離婚するほど仲が悪いわけですから当然といえば当然ですが、このまま放置しておくと上本家の家計が赤字まみれの惨状になるのは確実です。

 背に腹は代えられないので、直樹さんは勇気を振り絞って元妻へメールを送り、アポを取り、直談判の場(喫茶店の会議室スペース)へ足を運んだのです。そこで直樹さんは離婚から現在までの一部始終、そして父親の病状を伝えた上で養育費や慰謝料の見直し案を提示しました。

 「そっちの勝手でこっちを巻き込まないで!お父さんが倒れなければ養育費や慰謝料を減らさずに済んだでしょ?ダメならあきらめればいいじゃない!」

 そんなふうに元妻は怒りの感情を前面に出して、まるで父親(元妻にとっては義父)はこのまま息を引き取ってくれた方が好都合だと言わんばかりの勢いだったようで、直樹さんは開いた口が塞がらなかったそうです。

離婚時に交わした覚書で
養育費・慰謝料の支払条件の見直しは100%なし

 正直なところ、直樹さんは元妻を説得するにあたり、少し楽観していたところがありました。直樹さんと元妻は6年前に結婚し、当初は普通の夫婦でした。もし、元妻と父親との関係が険悪で、父親が離婚の原因を作ったり、離婚の協議に介入して、元妻が父親に対して今でも嫌悪感や不信感、恨み辛みを抱えているのなら無理もないでしょう。しかし、直樹さんの目には元妻と父親の関係は特筆すべきエピソードはなく、可も不可もない感じで、「うまくやっている」ように映っていたようです。

 元妻が父親の病状を目の当りにすれば「当然のように同情してくれるはず」と直樹さんは思い込んでおり、「大変だったね。それなら(養育費や慰謝料の減額は)しょうがないね」と元妻は二つ返事で応じてくれると完全に侮っていたのです。

 しかし、前述の通り、いざ蓋を開けてみれば悪い意味で真逆でした。このように直樹さんは1回目の話し合いでケチョンケチョンにされ、返り討ちに遭ったのですが、2回目は甘っちょろい想像の世界は捨てて、気を引き締めて臨まざるを得なくなりました。

 そもそも父親が心筋梗塞で倒れるという事態は完全に不慮であり、直樹さんには何の落ち度もありません。あくまで今現在の経済状況、家族構成だけをもとに現状に即した条件に補正すべきだと直樹さんは強調したのですが、元妻は直樹さんの話を聞いてか聞かずさらに畳み掛けてきたのです。

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露木幸彦[露木行政書士事務所代表]

つゆき・ゆきひこ/行政書士、フィナンシャルプランナー。1980年生まれ。国学院大学卒。男性の離婚相談に特化した行政書士事務所を開業し、開業から6年間で有料相談件数7000件、法律文書作成900件を達成。公式サイトは1日訪問者3300人、会員数は1万3000人と、業界では最大規模にまで成長させる。2008年よりドコモ、au、ソフトバンクの公式サイトで法律監修を担当。四半期に一度、大相談会を開催している。主な著書に『結婚貧乏~結婚してはいけない人を避ける方法』(中央公論新社)、『離婚のことばハンドブック~今すぐ解決したい人のキーワード152』(小学館)、『男のための最強離婚術』『男の離婚 賢く有利に別れるための6つの成功法則』(共にメタモル出版)などがある


実例で知る! 他人事ではない「男の離婚」 露木幸彦

昨今の離婚事情は複雑化している。夫が借金、浮気、暴力を繰り返して妻に愛想を尽かされるという「昭和型離婚」ばかりでなく、足もとでは「草食系離婚」も急増している。妻が多重債務、不倫、ヒステリーなどを繰り返し、真面目で優しい夫がそれに絶えられなくなって離婚を決意するというパターンだ。そうしたなか、離婚トラブルで悩み悶える男性が増えている。一度離婚トラブルに発展すると、男性は多くの精神的・物理的な負担を強いられる。到底納得できない理不尽な離婚トラブルに意図せず巻き込まれた場合に備えて、普段から対処法を考えておくことは必要だ。「男性の離婚相談」に特化し、数多くの相談実績を誇る行政書士の露木幸彦氏が、毎回実例を挙げながら、男性が陥り易い離婚トラブルへの対処法を指南する。読まずに泣くか、読んで笑うか――。現在離婚トラブルで悩んでいる人もそうでない人も、「他人事ではない男の離婚」について考えるための参考にしてほしい。

「実例で知る! 他人事ではない「男の離婚」 露木幸彦」

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