ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
老後のお金クライシス! 深田晶恵

「病気になったら住宅ローンがゼロ」保険に利用価値はあるか

深田晶恵
【第39回】 2016年6月1日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

「返済中に病気になったら心配ですよね?」
このひと言で大半が付ける保険

 住宅ローンの金利引き下げ競争は、限界まできているため、最近はどこの銀行も「病気を保障するローン」で独自性を出そうとしている。「がん、心筋梗塞、脳卒中になったら住宅ローンはゼロ」、「8つの重大疾病も保障する住宅ローン」などといったキャッチコピーを目にした人も多いだろう。

 私のところへ住宅ローン相談に来る人からも「保険で選ぶなら、どの銀行がお勧めですか」と聞かれることが増えている。「疾病保障保険」は、住宅ローンに付帯する任意のオプション。各行の独自商品であるため、仕組みや商品性はそれぞれ異なり、利用者が比較検討するのは簡単ではない。

 そもそも保険料というコストをかけてまで付けるべきなのか、付帯するなら選択のポイントはどこにあるのかを整理しよう。

 銀行は、住宅ローンの契約者が返済中に死亡した場合のリスクを「団体信用生命保険(団信)」でカバーする。銀行ローンの場合、団信の加入はマストで、保険料は金利に含まれているため、契約者が別途支払う必要はない(フラット35は任意加入、保険料は別途支払う)。

 一方「疾病保障保険」は、契約者が病気でローン返済が困難になったときをカバーするもの。保険料は原則として契約者が負担する。種類はいろいろだが、「がん保障タイプ」、がんに加え脳卒中、急性心筋梗塞が対象の「3大疾病タイプ」、糖尿病や慢性腎不全などを加えた「7~8大疾病タイプ」に大別される。

 保障する病気が増えるほど、保険料は高くなる。銀行にもよるが「がん保障タイプ」だと無料~金利+0.2%、「3大疾病タイプ」は金利+0.3%、「7~8大疾病タイプ」は+0.3~0.4%の水準だ。

 銀行の担当者から「住宅ローンの返済中に病気になったら心配ですよね」のひと言で疾病保障保険を付ける人は多いようだが、果たして保険料に見合う保障と安心は得られるのだろうか。金利+0.3%前後の保険料は、決して安いとはいえない。

保険料は30年間で170万円!

 たとえば、3000万円を金利2.5%、30年返済で借りるケースなら、0.3%の疾病保障保険を付帯すると、保険料は170万円にもなる。しかも、保険料が上乗せされた金利が契約書上の金利になるため、オプションの保険とはいえ、途中解約することはできない。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

深田晶恵 

ファイナンシャルプランナー(CFP)、(株)生活設計塾クルー取締役。

1967年北海道生まれ。外資系電器メーカー勤務を経て96年にFPに転身。現在は、特定の金融機関に属さない独立系FP会社である「生活設計塾クルー」のメンバーとして、個人向けコンサルティングを行うほか、メディアや講演活動を通じて「買い手寄り」のマネー情報を発信している。20年間で受けた相談は4000件以上。日本経済新聞、日経WOMAN、レタスクラブ等でマネーコラムを連載、ほかにダイヤモンド・オンラインでの『40代から備えたい 老後のお金クライシス!』のネット連載も 好評。

主な著書に『30代で知っておきたいお金の習慣』、『投資で失敗したくないと思ったら、まず読む本』『住宅ローンはこうして借りなさい 改訂5版』(共にダイヤモンド社)、『共働き夫婦のための「お金の教科書」』、『図解 老後のお金安心読本』(共に講談社)他多数。
1967年北海道生まれ。外資系電器メーカー勤務を経て96年にFPに転身。現在は、特定の金融機関に属さない独立系FP会社である「生活設計塾クルー」のメンバーとして、個人向けコンサルティングを行うほか、メディアや講演活動を通じて「買い手寄り」のマネー情報を発信している。18年間で受けた相談は3500件以上。日本経済新聞、日経WOMAN、ダイヤモンド・オンライン等でマネーコラムを連載中。
主な著書に『30代で知っておきたいお金の習慣』『投資で失敗したくないと思ったらまず、読む本』、『住宅ローンはこうして借りなさい 改訂5版』(共にダイヤモンド社)(共にダイヤモンド社)、『共働き夫婦のための「お金の教科書」』『図解 老後のお金安心読本』(共に講談社)他多数。


老後のお金クライシス! 深田晶恵

「年金崩壊」「定年後破産」などの恐ろしい言葉が飛び交う少子高齢化の現代ニッポン。老後の生活を支えるお金について熟知しておくことは、もはや誰にとっても待ったなしだ。30代でも早すぎない、40代なら今まさに備えを始めたい、老後資金のあれこれを人気FPがわかりやすく指南する。

「老後のお金クライシス! 深田晶恵」

⇒バックナンバー一覧