世界はデータで見れば明らかに良い方向へ向かっている

 G7伊勢志摩サミットは無事に全ての日程を終えた。三重県生まれの身としては、何だかとてもうれしいし、また誇りにも思う。最後に行われたオバマ大統領の広島でのスピーチも胸を打つすばらしいものだった。ところで、サミットでは、低成長のリスクや拡大した地政学的な紛争、テロ及び難民問題などが話し合われたという。いずれも決して明るい話題ではない。私たちの世界は悪い方向に向かっているのだろうか。否、決してそうではない。世界は具体的なデータを見ると明らかに良い方向に向かっているのだ。

G7やG20は国連を中核とした
正規の世界システムのバイパス

 ところでG7とは何だろう。一言で言えば、アメリカ、EU、日本といういわゆる自由主義諸国の経済3極の首脳会議といっていいだろう。しかし、新興国の台頭によりG7の世界のGDPに占めるシェアが過半を割り込んだので、現在では別名、金融サミットとも呼ばれるG20(有力20ヵ国が参加。20ヵ国合計で世界のGDPの90%ほどを占める)が、金融や世界経済に関する司令塔の役割を担っている。

 ただG7やG20は、全世界を網羅している訳ではないので、国際連合や国際通貨基金(IMF)、世界銀行など現在の世界を動かしている正規の世界システムの、いわばバイパスを担う役割を果たしているのだと考えていいだろう。現に、G7伊勢志摩首脳宣言では、国連の2030アジェンダや昨年採択された気候変動に関するパリ協定(COP21)など、正規の世界システムが定めた目標を尊重する姿勢を明らかにしている。

世界経済に低成長のリスクは?
IMFの最新データを見る

 世界経済は低成長のリスクに晒されていると言われるが、まず最初にIMFの最新(2016年4月)の世界経済の見通しをチェックしておこう。

世界はデータで見れば明らかに良い方向へ向かっている

 2017年の日本がマイナス成長になっているのは消費税の引き上げを見込んでいるからだが、消費税を考慮に入れなくても、この3年間、世界の中では日本の成長率が突出して低いことが明らかである。これは、おそらく人口の減少に加えて、生産性の向上(≒働き方の改革)が実現していないことが主因であろう。