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出口治明の提言:日本の優先順位

世界はデータで見れば明らかに良い方向へ向かっている

出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]
【第144回】 2016年6月3日
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 G7伊勢志摩サミットは無事に全ての日程を終えた。三重県生まれの身としては、何だかとてもうれしいし、また誇りにも思う。最後に行われたオバマ大統領の広島でのスピーチも胸を打つすばらしいものだった。ところで、サミットでは、低成長のリスクや拡大した地政学的な紛争、テロ及び難民問題などが話し合われたという。いずれも決して明るい話題ではない。私たちの世界は悪い方向に向かっているのだろうか。否、決してそうではない。世界は具体的なデータを見ると明らかに良い方向に向かっているのだ。

G7やG20は国連を中核とした
正規の世界システムのバイパス

 ところでG7とは何だろう。一言で言えば、アメリカ、EU、日本といういわゆる自由主義諸国の経済3極の首脳会議といっていいだろう。しかし、新興国の台頭によりG7の世界のGDPに占めるシェアが過半を割り込んだので、現在では別名、金融サミットとも呼ばれるG20(有力20ヵ国が参加。20ヵ国合計で世界のGDPの90%ほどを占める)が、金融や世界経済に関する司令塔の役割を担っている。

 ただG7やG20は、全世界を網羅している訳ではないので、国際連合や国際通貨基金(IMF)、世界銀行など現在の世界を動かしている正規の世界システムの、いわばバイパスを担う役割を果たしているのだと考えていいだろう。現に、G7伊勢志摩首脳宣言では、国連の2030アジェンダや昨年採択された気候変動に関するパリ協定(COP21)など、正規の世界システムが定めた目標を尊重する姿勢を明らかにしている。

世界経済に低成長のリスクは?
IMFの最新データを見る

 世界経済は低成長のリスクに晒されていると言われるが、まず最初にIMFの最新(2016年4月)の世界経済の見通しをチェックしておこう。

 2017年の日本がマイナス成長になっているのは消費税の引き上げを見込んでいるからだが、消費税を考慮に入れなくても、この3年間、世界の中では日本の成長率が突出して低いことが明らかである。これは、おそらく人口の減少に加えて、生産性の向上(≒働き方の改革)が実現していないことが主因であろう。

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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

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