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モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

ダイハツはトヨタ完全傘下で「和製ミニ」を目指せるか?

佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
【第31回】 2016年6月3日
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軽自動車不正の波紋が続く中
トヨタの完全子会社になるダイハツ

8月にトヨタの完全子会社となるダイハツは、軽自動車市場の逆風のなか「和製ミニ」を目指せるのか Photo:TOYOTA

 ダイハツ工業が8月からトヨタ自動車の完全子会社に移行する。同社は1907年(明治40年)に設立された「発動機製造株式会社」を前身とし、「大阪の発動機製造」であることから、大阪の「大」(ダイ)と発動機の「発」(ハツ)をとり、社名をダイハツに変更。現存する日本の量産車メーカーとしては最も歴史が古い、名門企業である。

 ダイハツは、かねてからトヨタグループの一員として、日本国内においては軽自動車事業でライバルとなるスズキとトップ争いでしのぎを削ってきた。それが今年1月、トヨタ自動車が本年8月からダイハツ工業を完全子会社化することを発表。トヨタグループにおける自動車メーカーの完全子会社化は、初のケースとなる。大阪を本社とする名門「ダイハツ」は、8月から何を目指そうとするのか、またトヨタがダイハツを完全子会社化する狙いはどこにあるのか、探ってみた。

 三菱自動車工業による軽自動車燃費データ改ざんに端を発した燃費データ不正問題はスズキにも飛び火し、「ミスター軽自動車」と呼ばれるスズキの鈴木修会長が国交省会見で二度に渡って頭を下げ、陳謝する事態となった。三菱自工の燃費データ改ざん不正とスズキの燃費走行試験不正とは異なるケースではあるが、いずれにしても「国の定める測定方法を守らなかった」(鈴木修・スズキ会長)ことによる不正であり、その影響は大きい。早速市場が反応しており、5月の軽自動車販売は三菱自工75.0%減、日産76.8%減、スズキ15.4%減(いずれも前年同月比実績)となった。

 三菱自工と日産の販売減少幅は生産、販売停止の影響で拡大し続け、燃費を算出する試験で国が定めた方法を守っていなかったスズキは「カタログ燃費データに不正はない」としながらも、ブランドイメージの悪化が販売減少につながっている。各社とも、軽自動車販売首位のダイハツが前年同月比5%増になったのと比べ、対照的な動きを示す。

 しかしながら、こうした事情は軽自動車全体の販売に大きく影響しており、5月の軽自動車トータル販売は10万7834台、14.3%減と17ヵ月連続で減少した。2年前までは国内新車販売のリード役だった軽自動車が、昨年4月の軽自動車税引き上げから低迷に転じ、これに燃費不正問題が追い打ちをかけた格好で、先行き不透明感を増している。

 安倍首相が1日、消費税率10%への引き上げを東京五輪開催前年となる2019年10月へ再延期すると表明したことで、自動車関連税制改革も微妙な状況である。個人消費指標の1つである自動車市場の動向、特に全体の4割近くを占める軽自動車市場の動向は、低迷から打開できるか否かによって、今後の景気とも連動する。

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佃 義夫[佃モビリティ総研代表]

つくだ・よしお/1970年、創刊86周年(2014年2月時点)の歴史を持つ自動車産業日刊専門紙『日刊自動車新聞社』入社、編集局に配属。自動車販売(新車・中古車)・整備担当を皮切りに、部品・物流分野を広域において担当した後、国土交通省・経済産業省など管轄官庁記者クラブ、経団連記者クラブ(自工会分室)と、自動車産業を総合的に網羅し、専任担当記者としてのキャリアを積む。その後、該当編集局内における各分野のデスク・論説担当編集局次長を経て、出版局長として自動車産業オピニオン誌『Mobi21』を創刊。以降、取締役編集局長・常務・専務・代表取締役社長を歴任。45年間の社歴全域で編集・出版全体を担当、同社の「主筆」も務める。日刊自動車新聞社を退任後、2014年に「佃モビリティ総研」を立ち上げ、同総研代表となる。


モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「自動車」から「モビリティ」の時代へ――。クルマ業界が変貌を遂げつつあるなか、しのぎを削る自動車各社。足もとで好調を続けるクルマ業界の将来性と課題とは、何だろうか。日本の自動車産業・クルマ社会をウオッチしてきた佃義夫が、これまでの経験を踏まえ、業界の今後の方向・日本のクルマ社会の行方・文化のありかたなどについて、幅広く掘り下げ提言していく。

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