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トヨタとソフトバンクで鍛えた「0」から「1」を生み出す思考法・ゼロイチ
【第9回】 2016年6月17日
著者・コラム紹介バックナンバー
林要 [GROOVE X代表取締役]

「失敗しそうで怖い…」とビビったときに、
平常心を取り戻す簡単なコツ
Pepper元開発リーダーが明かす「0」から「1」を生み出す思考法

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ゼロイチには恐怖心が伴います。誰もやったことのないことにチャレンジするのですから、当然、失敗する確率が高い。「会社に損害を与えてしまうのではないか?」「会社のためにやっても、リスクをとった自分だけバカをみるのではないか?」「評価が下がるのではないか?」「痛い目にあうんじゃないか?」……。そんな不安がこみ上げてきて、最初の一歩を踏み出すのが怖くなるのです。では、トヨタとソフトバンクで世間が注目する「ゼロイチ」のプロジェクトで結果を出してきた、Pepper元開発リーダー・林要さんは、その恐怖をどう乗り越えてきたのか?著作『ゼロイチ』から抜粋してご紹介します。

 

「恐怖心」を無理に打ち消そうとしない

 ゼロイチには恐怖心が伴います。
 誰もやったことのないことにチャレンジするのですから、当然、失敗する確率が高い。「会社に損害を与えてしまうのではないか?」「会社のためにやっても、リスクをとった自分だけバカをみるのではないか?」「評価が下がるのではないか?」「痛い目にあうんじゃないか?」……。そんな不安がこみ上げてきて、最初の一歩を踏み出すのが怖くなるのです。この恐怖心こそが、ゼロイチへの最大の障壁かもしれません。

 思い返せば、僕自身、ゼロイチにチャレンジするときは、いつだって怖かった。実績ゼロのままLFAにエントリーされたときも、ろくに英語もできないのにF1に配属されたときも、トヨタを辞めてソフトバンクに転職したときも……。もちろん、今もそう。自らの手で起業するのは初めての体験。これまでとは比較にならないリスクがありますから、恐怖心に襲われることは当然のようにあります。

 でも、僕は恐怖心を気合いだけで打ち消そうとは思いません。
 なぜなら、怖いものは怖いからです。「失敗を怖れるな」とよく言われますが、失敗は誰だって怖い。それは、人間の自然な反応。それを気合いで無理に打ち消そうとしても、単なるやせ我慢に過ぎない。問題の先送りをしていると思うのです。

 では、どうするか?
 僕は、恐怖心を感じている自分を客観的に見るようにしています。自分の感情や思考、その結果としての行動を、映画の登場人物のように観察するのです。いわゆる「メタ認知」と呼ばれている思考法です。「ああ、今、林要は怖がってるんだな……」と他人ごとのように眺めて、「なぜ、怖がっているのか?」と考えてみるのです。

 これだけでも、少し冷静になれます。「怖い、怖い」とだけ思っていると、恐怖心に飲み込まれて身動きが取れなくなってしまいますが、恐怖心を感じている自分を客観的に見つめようとすることで、その感情から一歩離れることができるのです。こうして冷静になるのが、恐怖心を克服する第一歩です。

 

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林要(はやし・かなめ) [GROOVE X代表取締役]

林 要(はやし・かなめ) 1973 年愛知県生まれ。東京都立科学技術大学(現・首都大学東京)に進学し、航空部で「ものづくり」と「空を飛ぶこと」に魅せられる。当時、躍進めざましいソフトバンクの採用試験を受けるも不採用。 東京都立科学技術大学大学院修士課程修了後トヨタに入社し、同社初のスーパーカー「レクサスLFA」の開発プロジェクトを経て、トヨタF1 の開発スタッフに抜擢され渡欧。「ゼロイチ」のアイデアでチームの入賞に貢献する。帰国後、トヨタ本社で量販車開発のマネジメントを担当した際に、社内の多様な部門間の調整をしながら、プロジェクトを前に進めるリーダーシップの重要性を痛感。そのころスタートした孫正義氏の後継者育成機関である「ソフトバンクアカデミア」に参加し、孫氏自身からリーダーシップをたたき込まれる。 その後、孫氏の「人と心を通わせる人型ロボットを普及させる」という強い信念に共感。2012 年、人型ロボットの市販化というゼロイチに挑戦すべくソフトバンクに入社、開発リーダーとして活躍。開発したPepper は、2015 年6 月に一般発売されると毎月1000 台が即完売する人気を博し、ロボットブームの発端となった。 同年9 月、独立のためにソフトバンクを退社。同年11 月にロボット・ベンチャー「GROOVE X」を設立。新世代の家庭向けロボットを実現するため、新たなゼロイチへの挑戦を開始した。


トヨタとソフトバンクで鍛えた「0」から「1」を生み出す思考法・ゼロイチ

「0」から 「1」を生み出す力を日本企業は失っているのではないか? そんな指摘が盛んにされています。一方、多くのビジネスパーソンが、「ゼロイチを実現したい が、どうしたらいいのか?」と悩んでいらっしゃいます。そこで、トヨタで数々のゼロイチにかかわった後、孫正義氏から誘われて「Pepper」の開発リー ダーを務めた林要さんに、『ゼロイチ』という書籍をまとめていただきました。その一部をご紹介しながら、「会社のなかで“新しいコト”を実現するために意 識すべきエッセンス」を考えてまいります。

「トヨタとソフトバンクで鍛えた「0」から「1」を生み出す思考法・ゼロイチ」

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