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三菱UFJの国債特別資格返上は日銀への“不信任案”か

週刊ダイヤモンド編集部
2016年6月13日
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1000兆円を超える日本の借金。その資金繰りのために、メガバンクと日本銀行、財務省の三者は、あうんの呼吸で国債の発行と購入を繰り返してきた。ところが、日銀が導入した異次元金融緩和政策とマイナス金利政策によって、メガバンク最大手が“鉄のトライアングル”から離れる決意をした。(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)

 これまでの国債市場では考えられない決断が下された。三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)の傘下銀行である三菱東京UFJ銀行が、国債入札に特別な条件で参加できる資格を国に返上する方針を固めたのだ。

 その資格は「国債市場特別参加者」、通称「プライマリー・ディーラー(PD)」と呼ばれる。日本の借金は1000兆円を超え、今後も国債の大量発行が見込まれる中、国債の安定的な消化を図る仕組みとして、2004年に導入された。現在はメガバンク3行と大手証券会社を合わせた合計22社が名を連ねている。

 PDになることができるのは、国債の“お得意さま”だけだ。国債の発行予定額における4%以上の応札責任や、一定割合以上の落札責任などを果たさなくてはならない。

 一方で、国債を発行する財務省との意見交換の場に参加できたり、過去の応札・落札実績に応じて、通常の価格競争入札とは異なる形式で国債を購入できたりといった“VIP待遇”が受けられる。まさに特権だったのだ。

 ところが、それも今は昔。日本銀行が今年2月にマイナス金利政策を導入すると、状況は一変した。長期金利の指標とされる10年物国債すらマイナス金利に沈む状況に陥り、国債の応札・落札責任が重たくなってきたのだ。

 「マイナス金利の国債を購入して満期まで保有すると、損をしてしまう」(三菱UFJFG関係者)ことになるため、「株主や預金者に説明がつかない」(同)。しかし、それを避けるため、満期前に国債を売却しようとすると、銀行にとって最重要指標の一つである自己資本比率の数字が、金融規制のルール上、悪くなってしまう。

 こうした背景がある中で、三菱東京UFJ銀行はPDの返上を決意したというわけだ。

 ただし、それは「国債市場からの撤退を意味するわけではない」と、三菱東京UFJ銀行関係者は強調する。例えば、国債は金融取引の担保として今もなお重要な役割を果たしており、数十兆円単位の国債は常に手元に置いておく必要がある。

 また、三菱UFJFG傘下の証券子会社2社は引き続きPDに名を連ねるため、そのルートを通じてグループとして「国債の安定消化への責任を果たしていく思いは持っている」(前出の三菱UFJFG関係者)という。

三菱東京UFJ銀行(左)と日本銀行(右上)、財務省(右下)は結束して国債の安定消化に努めてきたが、マイナス金利政策の副作用で歯車が狂い始めた Photo by Ryosuke Shimizu、Takahisa Suzuki
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