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バッハの才能すら模倣!人工知能はあらゆる職業を脅かす

上野ヒトシ
2016年6月16日
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2016年は、人工知能(AI)が金字塔を打ち建てた年として科学史の教科書に大きく記載されるに違いない。人間の知性から生まれたAIが、生みの親を凌駕し、生みの親を支配しようとする物語は多くのSF作家によって紡がれてきた。だが、それはもう遠い未来の話ではないのかもしれない。AIが人間の知性を越えたとき、どのような世界が出現するのだろうか。

人工知能が人間を超える
「シンギュラリティ」はいつ起こる?

 今年3月、“天才”デミス・ハサビス率いるディープマインド社が開発した人工知能「アルファ碁」に、韓国籍の棋士イ・セドル九段が敗退した“事件”が起きた。「アルファ碁」の勝利は、AIが人類の知性を超越する瞬間=“シンギュラリティ”の到来を強く予期させる。

 シンギュラリティとは、もともと数学で“関数の値が無限大になる場所”を指す術語だ。日本語では「特異点」と訳される。

人工知能(AI)の能力が人間を超える「シンギュラリティ」はSF映画の中の絵空事ではない。AI研究者の実に9割が21世紀中に現実化すると見ている

 「この言葉を“人類の社会発展が予測できなくなる時点”という意味で最初に使ったのは、ジョン・フォン・ノイマンだと言われています」。こう語るのは、シンギュラリティサロン主宰で『人類を超えるAIは日本から生まれる』(廣済堂新書)などの著書もある宇宙物理学者の松田卓也氏だ。

 ノイマンは、“ノイマン型”コンピュータに名を残す、20世紀最高の知性のひとりである。彼は、数学者ウラムとの対話において、「なにか本質的な“特異点”が近づきつつあって、それまで通りの人間の生活は持続不可能になるのではないか」と語っている。

 「『近い将来、人工知能の能力が人類の知能を上回る』という予測を広めている代表的な人物が、未来学者のレイ・カーツワイルです。彼はフラッドヘッドスキャナやOCR(光学文字認識)を発明した実業家でもあり、現在はグーグルで人工知能開発の総指揮を執っています。そして著書で『2045年にシンギュラリティが起こる』と繰り返し主張しています」(松田氏)

 カーツワイルは、「集積回路上のトランジスタ数は1年半ごとに倍増する」というムーアの法則を一般化し、この世界のあらゆるものが指数関数的に進化することをデータで示した。

 「カーツワイルは、ある発明が他の発明と結びつくことで、次の主要な発明までの期間を短縮すると考えました。これを『収穫加速の法則』と呼びます。この法則にしたがうと、2045年ごろの世の中の変化はたいへんなスピードになっています。例えるなら、現在のiPhoneのモデルチェンジは1年に1度ぐらいのものですが、それが1秒に1回モデルチェンジするような感覚です」(松田氏)

 カーツワイルだけではない。オックスフォード大学の哲学者ニック・ボストロム教授が行ったアンケートによると、AI研究者の半数が、2040〜50年にシンギュラリティが起こると回答したという。

 「調査対象のうち、『シンギュラリティは起こらない』と回答したのは10%でした。全体を見た場合、90%の専門家が、『シンギュラリティは21世紀中に訪れる』と回答しています。つまり、2045年は専門家の標準的な予測でもあります」(松田氏)

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