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「プロ経営者」養成塾

それでも「プロ経営者」が必要な理由

小杉俊哉
【第1回】 2016年6月27日
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プロ経営者の「しくじり」

 「プロ経営者」という言葉をさまざまな媒体で目にするようになった。それは、二人の大物プロ経営者が相次いで退任したからだ。一人は、LIXILの藤森義明社長兼CEO、もう一人はベネッセホールディングスの原田泳幸会長兼社長だ。

 藤森氏は、日商岩井(現双日)からゼネラル・エレクトリック(GE)に入社し、46歳の若さで上席副社長になり、アジア人としてはじめて同社の経営陣の一員となった。5社が合併してできたLIXIL。その一社トステムの創業家二代目潮田洋一郎会長兼CEOから経営を託された。

 しかし、買収した独グローエ傘下の中国企業ジョウユウに巨額の簿外債務が発覚し、結果660億円の損害を被った。記者会見でジョウユウの不正会計問題について、進退とは「全く関係ない」と断言したが、この失敗の責任を取らされた、あるいは、M&Aの手腕に疑問符が呈せられたとみるのが妥当であろう。

 一方、ベネッセホールディングスの原田氏は、日本NCR、仏シュルンベルジュを経て、アップル・コンピュータ・ジャパンに入社し、マーケティング部長を振り出しに米国本社勤務などを経て、日本法人の社長となる。次いで、日本マクドナルド会長兼社長を経て、創業家二代目の福武總一郎会長兼社長からベネッセホールティングスの経営を託された。

 ところが、周知のように就任間もなく顧客情報流出事件が起こり、さまざまな形で打ち手を講じたが功を奏せず、顧客の流出、業績悪化は止まらず、「三期連続減収減益が明らかになったことの責任を取って」辞任を発表したという経緯だ。

 原田氏は、創業家からの信任を失ったのではなく、あくまでトップとしてのケジメで自ら辞任を決断したことを強調しているが、原田改革路線に対する社内の不協和音に対しての疑問を持たれていたかもしれない。

 これらを報じた記事を通じて、だからプロ経営者はダメなんだという印象を持った人も多いことだろう。

 このような辞任が、プロ経営者そのものへの否定に繋がるのではないかと懸念するが、それでも日本の企業経営にプロ経営者が必要だと私は考えるのだ。

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小杉俊哉

合同会社THS経営組織研究所代表社員、慶應義塾大学大学院理工学研究科特任教授、立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科客員教授。 1958年生まれ。早稲田大学法学部卒業後、NECに入社。マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク、ユニデン株式会社人事総務部長、アップルコンピュータ株式会社人事総務本部長を歴任後独立。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授を経て現職。著書に『職業としてのプロ経営者』(クロスメディア・パブリッシング)等。


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日本人のグローバルにおける市場価値は非常に低い。人材の流動化促進により、プロ経営者を育てていくことがグローバル環境の中で日本の企業が発展するためにも必須ではないだろうか。企業側の視点で言えば、今の若者たちを「プロ経営者的発想」を持った人材として企業社内で育てることで、プロ経営者を招聘しなくても、社内から「プロ経営者」を出すことが可能になり、グローバル競争に勝ち抜く経営層を作ることができる。では、プロ経営者とはどのような経営者なのか。この連載では「プロ経営者という人材」について詳しく見て行く。

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