中国のモバイルネットは、まだまだ導入期にあるためか、中国にいてもなかなか業界の情報が入手できない。上海でネットビジネスを営む経営者の方でも、「モバイルに関してはよくわからない」という人が多いのが現状だ。

 そこで、前回紹介した水野裕哉・上海網村信息技術有限公司(UUCUN)董事のインタビュー記事に続き、中国のモバイルネット事情に関してお話ししよう。

 ユーザー数がすでに2億7700万人を超え、20%程度の成長を続ける中国モバイルネットは、これからまさに夜明けを迎えようとしている。実際、中国ECの雄「淘宝網」(タオバオ)も、昨年から本格的にモバイルネットに注力し始めているくらいだ。

3G端末の普及とユーザーの変化で
来年からモバイルネットが急拡大する?

 その中国モバイルネットが、来年からさらに急拡大すると言われている。

 その理由の1つが、3G端末の普及スピードが加速することだ。現在、中国で使われている携帯電話の8~9割を占めると言われているのが、山賽携帯である。中国ローカル企業が製造するiPhoneなど、人気携帯そっくりの外見をしたいわゆる「ニセモノ携帯」だ。

 街で数百元程度で売られているが、普通に携帯電話として使用できる。その山賽携帯メーカーにチップセットを提供しているメディアテックという大手企業が、今年末にアンドロイド携帯向けのチップセットを提供すると言われている。

 もしこれが実現すれば、現在3000~5000元程度するスマートフォンが、1000元程度で市場に投入されることになる。そうなれば、一気にモバイルネット利用が拡大するはずだ。

 また、2009年からスタートした中国の携帯3Gサービスは、ユーザー数がすでに10年6月末で2520万件に達している。現在の3G普及率は、8億のユーザー数から見るとまだまだ3%程度に過ぎないが、日本の3G契約率が95%以上あることを考えると、中国のモバイルネットの成長ポテンシャルは計り知れないだろう。

 もう1つの理由は、最近モバイルネットユーザーの属性が変化していることだ。2010年5月にiResearchが発表した『2010年中国携帯ネットユーザー利用調査報告』を見ると、ネットユーザー属性の「年齢」と「学歴」が、昨年から大きく変化していることが分かる。