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ウソはバレる ― 「定説」が通用しない時代の新しいマーケティング
【第1回】 2016年7月6日
著者・コラム紹介バックナンバー
イタマール・サイモンソン,エマニュエル・ローゼン,千葉敏生

◯◯がマーケターを駆逐する!?
1ミリも盛れない時代のサバイバル戦略とは

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「顧客はすべてお見通し」
「ブランディングは効かない」
「ポジショニングやロイヤルティ戦略も、もはや有効ではない」
挑発的な邦題に負けないくらいの大胆な宣言ではじまる異色のビジネス書『ウソはバレる』。いったいなぜ、モノやサービスを「売るための戦略」は通用しなくなってきたのか。もし本当に通用しないなら、私たちはどうやって売っていけばいいのか。翻訳した千葉敏生氏の「訳者あとがき」からそのヒントを探ってみたい。

ステマからブランドの本音まで
顧客はすべてお見通し!

 超情報化時代の到来により、商品やサービスを購入する消費者側にとってはとても便利な時代になった。

 価格比較サイトを見れば商品の価格相場がひと目でわかるし、レビュー・サイトを訪れれば商品の良し悪しがすぐに確かめられる。私自身も、衝動買いする寸前にレビュー・サイトをチェックしたおかげで、無駄な買い物をしなくて済んだ経験が何回もある。

 その反面、商品やサービスを売ろうとしているマーケター側にとっては、非常に厳しい時代となった。

 商品を高額商品と並べて陳列することで割安に見せたり、自画自賛の広告で商品をアピールしたりしようとしても、価格比較サイトやレビュー・サイトを調べられたら、真実が一発でわかってしまう。マーケターがあの手この手の策を講じて消費者を購入へと誘導しようとしても、情報を握っている現代の消費者にはすべてお見通し。つまり、「ウソはバレる」ということだ。

 それどころか、ウソやトリックに頼る企業は、消費者から重い罰を受ける時代にさえなった。ひとたび消費者から不誠実とみなされると、SNSは大炎上。従来なら多少強引でも有効だったマーケティング手法は、現在の環境ではリスキーな戦略にもなりうる。

 そんな新時代の斬新なマーケティングの考え方を提唱するのが、本書『ウソはバレる』(原題:Absolute Value)の著者のイタマール・サイモンソンとエマニュエル・ローゼンである。本書の冒頭でも触れられているとおり、マーケティングの第一人者として、かつて従来型のマーケティング手法の効果や消費者の不合理性を盛んに訴えていた2人が、新時代に直面して考え方を改め、本書を記したというところが何ともユニークだ。

 2人は本書で、原題にもある「絶対価値」というキーワードを用いながら、従来のマーケティングの常識にことごとく疑問を投げかけ、新時代のマーケティングの考え方、新しいマーケターの役割を提唱している。著者のいう「絶対価値」とは、商品やサービスの絶対的な価値、本質的な価値という意味。「必ず」という意味の「絶対」(「絶対に正しい」「絶対の法則」)ではなく、「相対」の逆の意味の「絶対」(「絶対値」「絶対評価」)だと思って読んでいただけると、わかりやすいのではないかと思う。

クリック1つで商品やサービスの絶対価値がわかる時代になったことで、ブランディング、ポジショニング、セグメンテーション、ロイヤルティ、説得など、従来のマーケティング手法の効果は弱くなっている。「このブランドが好きだから」「お店で大々的に特集されていたから」「1つ前の製品を使って満足したから」などの理由で商品を選ぶ消費者は少なくなり、その商品自体の本質的な価値を購入のつど見極めようとする消費者が増えているのだ。もちろん、著者もさいさん断っているとおり、この傾向がすべての消費者、商品やサービスのカテゴリーに当てはまるわけではないが、全体としては、従来のマーケティング手法は意味を失いつつある。

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イタマール・サイモンソン(Itamar Simonson)

スタンフォード大学ビジネススクールのセバスチャン・S・クレスゲ・マーケティング教授。消費者の意思決定に関する世界的な権威と評されていて、これまでに、消費者の選択、買い手の意思決定を動かす要因、マスカスタマイゼーションの限界など、マーケティングの中心的な概念について、新たな知見をもたらしてきた。その研究は数々の賞を受賞しているだけでなく、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなど、世界じゅうのメディアで取り上げられている。
スタンフォード大学では、マーケティング・マネジメント、批評的・分析的思考、企業向けマーケティング、テクノロジー・マーケティング分野のMBA課程や、消費者行動、消費者調査手法、意思決定分野の博士課程で教鞭をとってきた。また、マーケティングや意思決定分野の有名学術誌の9つの編集委員会にも名を連ねている。

エマニュエル・ローゼン(Emanuel Rosen)

ベストセラーとなった『クチコミはこうしてつくられる』(日本経済新聞出版社)の著者。同書で「口コミ・マーケティング」の時代の到来を予見し、後に実現したことで注目を集めた。
かつてナイルズ・ソフトウェア社のマーケティング担当副社長として、同社の主力商品「EndNote」をリリース。精力的に講演もこなし、グーグル、インテル、ナイキ等の企業をはじめ、世界じゅうのフォーラムで観衆を惹きつけてきた。コピーライターとしての顔も持ち、「カンヌ国際広告祭(現カンヌライオンズ)」で2度の受賞歴を持つ。
他の著書に、The Anatomy of Buzz Revisited(未邦訳)がある。
 

千葉敏生(ちば・としお)

翻訳家。1979年神奈川県生まれ。早稲田大学理工学部数理科学科卒業。訳書に、ジョン・コルコ『ひらめきをデザインする』、ティム・ブラウン『デザイン思考が世界を変える』、チップ・ハース&ダン・ハース『スイッチ!』、『決定力!』(以上、早川書房)、トム・ケリー&デイヴィッド・ケリー『クリエイティブ・マインドセット』(日経BP社)、ドナルド・トンプソン『普通の人たちを予言者に変える「予測市場」という新戦略』(ダイヤモンド社)などがある。


ウソはバレる ― 「定説」が通用しない時代の新しいマーケティング

×「企業のブランドは今まで以上に重要である」
×「ロイヤルティを築くことがマーケターの日々の大事な仕事」
×「顧客はみんな不合理だ」
×「過剰な選択肢は人々を麻痺させることがある」
×「ポジショニングこそマーケティングの最重要課題」
⇒マーケティングの「定説」の9割は、もはや通用しない!?

ステマ、サクラレビューから、
盛りすぎコピー、ブランドの本音まで、
「顧客はすべてお見通し」の時代で、
ビジネスはどう変わるのか?

「ウソはバレる ― 「定説」が通用しない時代の新しいマーケティング」

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