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陳言の選り抜き中国情報

中国、南シナ海問題での意外な思考原理と日本への本音

陳言 [在北京ジャーナリスト]
2016年7月7日
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 国連の安全保障理事会は1ヵ月ごとに議長国が入れ替わるが、7月1日から日本が議長国になった。別所浩郎・国連大使は、さっそく記者会見を開き、中国が領有権を主張している南シナ海問題について「強い関心を持っており、要望があれば、国連安保理では同議題を討論する用意がある」と述べた。中国のテレビではその会見の映像を繰り返し放映している。

 同時に、カンボジアのフン・セン首相が現地のイベントで「日本大使が経済支援を餌にして南シナ海問題について日本の主張を支持してもらいたがっている」と語った映像も放送されている。

 南シナ海問題では、フィリピンが中国を相手どってオランダ・ハーグ常設仲裁裁判所に訴訟を提起しており、7月12日にその判断が下る予定だが、実は北京で報道に触れる限りでは、南シナ海問題で中国と対峙している国として話題に上るのは、アメリカ、日本ぐらいで、フィリピンはそれほど多くメディアには登場していない。

 中国はまったくフィリピンを批判していないわけではないが、当事国同士で話し合いによって南シナ海問題を解決していきたいという姿勢は変化していない。また、多くの報道は、南シナ海問題は当事者同士の交渉によって解決すべきと主張している。

 筆者が中国で接し得る日本の報道は限られているが、中国と日本で世論はかなり異なっているように思う。当然ながら、それぞれの国民の相手国に対する感情は、こうした世論の影響を強く受けていると思われる。

 筆者は中国の南シナ海での行動について全面的に賛同しているわけではない。また、日本が南シナ海問題に対して、他国と連帯をとって中国包囲網を作っていこうとする思惑について分析するつもりもない。あくまでここでは、中国は南シナ海問題でなぜ今のやり方しか取らないのか、中国の専門家の意見などをまとめるに留めたいと思う。

なぜ中国ばかりが「独善的」と言われるのか
ベトナム、マレーシア、フィリピンは?

 筆者が接する限り、日本における南シナ海における埋め立て関連の報道は、もちろんベトナム、フィリピンについて言及することもあるが、全体のイメージとしては「中国だけ独善的に埋め立ている」とするものが多い。特に空港建設については、ベトナム、マレーシアのケースに触れているものはほぼない。

 これは中国での報道とはかなり異なる。

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陳言 [在北京ジャーナリスト]

1982年南京大学卒。『経済日報』に勤務してから、1989年に東京大学新聞研究所、慶応大学経済学研究科に留学、博士課程終了、萩国際大学教授。2003年に帰国。月刊『経済』主筆。2010年から日本企業(中国)研究院を設立、執行院長。ダイヤモンドオンライン、『週刊東洋経済』『アエラ』『中国経済週刊』『中国経営報』などのメディアに数多くの記事を掲載。2015年日本語日刊紙『速読中国』を創刊して編集長を兼任。


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世界第2位の経済大国になった中国は、依然として猛烈なスピードで変化している。一方、中国にはウェブ系も含めると、何千というメディアが存在し、情報が溢れかえっている。北京在住の経済ジャーナリスト・陳言氏が玉石混交の情報の中から、中国の対外関係、多国籍企業、技術革新、中国の経済政策など日本経済や日本企業に影響を及ぼす情報を選りすぐり解説する。そこからは日本のメディアが伝える中国とは、違った姿が見えてくる。

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