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中国の脅威で米越接近、南シナ海に日本はどう関与すべきか

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第430回】 2016年5月31日
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米国のベトナムへの武器輸出解禁
対中国で利害が一致

オバマ米大統領はベトナムに訪問し、ベトナムに対する武器輸出を解禁した Photo:AP/AFLO

 5月23日、ベトナムを訪問していたオバマ米大統領は、ベトナムに対する武器輸出を全面解禁すると発表した。ベトナムは世界で唯一、米軍に勝利した国だ。そのベトナムが、今、米国から武器を購入することが可能になった。

 その背景には、南シナ海で領有権を巡って紛争が鮮明化する中国との関係がある。

 ベトナムとすれば、中国の最大のライバルである米国と親密化を図ることで、中国を牽制する意味がある。

 今回の決定は、そうしたベトナムの思惑と、対中国の抑止力強化という米国の利害が一致したことを示している。米国がベトナムの人権問題などに懸念を示しつつも、米国が歩み寄ったことで、アジア地域の安全保障にとって大きな一歩が踏み出されたことになる。

 中国は、南シナ海のスプラトリー諸島、パラセル諸島などで埋め立てを進め、軍事拠点を設営してきた。中国はベトナムの排他的経済水域に石油探査リグを設けるなど、他国の資源をも手中に収めようとしている。

 そうした中国のスタンスは、国際法あるいは倫理的な観点からも容認されるものではない。一方、中国は世界第2位の経済大国だ。ベトナムは真正面から中国と対立し、中国市場へのアクセスを失うことは避けたいはずだ。

 今までベトナムは軍事面でロシアとの関係が強かった。その中で、今回、米国の武器輸出の全面解禁という米越間の関係強化が進んでいることは、今後の同国を巡る情勢を大きく変化させることになるだろう。当然、わが国にも相応の影響があるはずだ。

 これまで中国は、南シナ海で埋め立てを行って領有権を主張し、拡張主義を進めてきたが、これは国際法上の観点からも容認されるべきものではない。それは、ベトナムやフィリピンなどの諸国との対立を生んだ。

 そうした行動は、他国の主権を無視しており、明らかに誤った政策だ。長い目で見ると、近隣諸国との関係悪化などを通して、いずれ中国自身が不利益を被る可能性が高い。すでにフィリピンは、中国の領有権主張が国際法に違反しているとオランダ、ハーグの仲裁裁判所に提訴した。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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