回転寿司チェーンで
生き残りの鍵握る「効率」を考える

 本稿の読者にも、回転寿司店を利用したことのある方は多いだろう。寿司以外の食材を提供するなど、業界自体が過当競争の様相を呈しているが、回転寿司チェーンが生き残るための一つの鍵は「効率」にある。ピーク時には店外に長い待ち行列ができ、満員で賑わう店内も、お昼時を過ぎると閑散としている。

 ある大手チェーンの一つでは、顧客が食べ終わった皿を、自らがテーブルの脇にある投入口に流し込んで回収する方式を導入している。一皿当たりの価格の標準化など、事前準備は必要であるが、先のグループが食べ終わってから次のグループが席に着くまでの、店員による皿カウントと片づけというアイドルタイムが短くなる。これにより、ピーク時の回転効率を向上させている。

 顧客にとっても、皿数のカウントミスという不安がなくなる。女性客にとっては、食べ終わった皿を高く積み上げる抵抗感が解消される。その一方で、店内が空いてくると、コンベアを「短縮ルート」に路線変更し、長いコンベアを動かして寿司ネタをムダに回転させるロスを防いでいる。

 このチェーン店では、年齢層や性別ごとの平均皿数や滞留時間を分析し、客数に応じてコンベア上に流す皿数を決めるシステムを導入し、それを応用して待ち時間を携帯端末に表示し、混雑時にも安心して待てるように工夫している。

効率向上を目指して:
インダストリアル・エンジニアリングとは?

 こうした効率向上のための考え方と手法は、一般にインダストリアル・エンジニアリング(IE)と呼ばれる領域で研究されている。IEは元々、100年近く前にアメリカで体系化され、日本においても第2次大戦後の経済成長時に、製造業を中心に大きな貢献を果たしてきた。