
「PDCAを回せ!」と声高に叫ぶ人ほど、なぜか「つまらないP(計画)」ばかりを量産する――そんな職場の光景に見覚えがある人は少なくないはずです。なぜこのような現象が起きるのでしょうか。そして、なぜ「PDCAとかすぐ言うやつ」と揶揄される人たちが増え続けているのでしょうか。そこには、意外な経営理論的な裏付けと、コンサル業界が広めてきた「賢さアピールのテクニック」が関係していました。本記事では、元ボストン コンサルティング グループの戦略コンサルタントである筆者が、自戒をこめてこの現象の本質を深掘りします。(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博)
コンサルが広めてきた
「賢さをアピールする手法」
「PDCAとか すぐ言うやつの Pはだいたい つまらない。」という広告コピーが定期的にバズっています。福岡のアイキューブシステムズという企業の採用広告なのですが、なぜか「そうそう」と思い当たるふしがあるのです。
一連の広告コピーとしてはこれに続いて、「『時代は』『社会は』『欧米は』自分の考えがない人ほど主語が大きくなる。」としたうえで「求む。世界を書きかえる人」という求人メッセージへと続きます。
個人的にも、「あるよなぁ」と感じます。職場にたくさんいるんです、こういう人が。
30年ぐらい前からいた気がします。そして、だいたいこの「つまらない人」が出世する。個人的にはこのコピーで一番共感できる部分は「やつ」ということばです。そう、悔しいんですよね。そのうえ、何か間違っている気がします。
この現象は何なのかを考えてみると、私が育ったコンサル業界にそもそもの起源があるように感じます。事例を挙げようとするときりがないほど思いつくのです。