書類を見て頭をかかえるビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

「結局、何が言いたいのか」「もう少し分かりやすく書いてほしい」――そのように指摘されて、テンプレートや生成AIを活用すれば安心だと思っていないだろうか。しかし、それこそが「何度も修正が必要な文章」をつくってしまう落とし穴なのだ。では、ストレスのない、伝わる文章を書くためにはどうすればよいのか。文章作成前に考えるべき3つのポイントを解説する。(日本漢字能力検定協会 コンテンツ開発部部長 花本直和)

下手な文章は
深刻な職場のストレス

 皆さん、職場で後輩や部下が作成したレポートなどの文章をチェックする機会があると思います。残念ながら、内容の修正や追加を指摘しなければならないことが多いのではないでしょうか。これが日常的に発生すると業務時間を圧迫するだけでなく、職場のストレスにもなってしまいます。

 本日は、皆さんの職場の文章力向上の一助となる、わかりやすい文章の書き方の指導ポイントをお伝えしたいと思います。

 日本漢字能力検定協会が2022年に実施した『企業における上司・部下間の文章のやり取りに関する意識調査』の結果の一部を見てみましょう。

 部下の文章にアドバイスや指摘をしたことのある30歳以上のビジネスパーソンに対して「部下の作成した文章にストレスを感じたことがありますか。」と尋ねたところ、感じたことが「ある」「ややある」合わせて84.5%という結果が出ました。

 その原因の1位は「読み手が必要とする情報が欠けている・説明不足(65.1%)」となっています。この課題は、テレワークなど多様な働き方が増え、メールやチャットのような文章を用いたコミュニケーションの頻度が増える中で、より深刻なものとなっていると思われます。
 
 では、情報不足・説明不足をなくして読み手にストレスを感じさせない文章を書くには、どうすればいいのでしょうか。

 最近はビジネス文章のテンプレートもありますし、それまでに使用した文章をコピーして使っていることも多いと思います。しかし、そこにこそ、情報不足・説明不足の文章を書いてしまう3つの落とし穴があるのです。この落とし穴を回避するためには、書きだす前の準備が欠かせません。次項からはその落とし穴と、事前に指導すべきポイントをお伝えします。