闇株新聞[2016年]
2016年7月11日公開(2016年7月13日更新)
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闇株新聞[2016年]

闇株新聞編集部
 

『闇株新聞』は、新聞、雑誌などの大メディアの経済記者や金融業界関係者、プロ級の個人投資家がひそかに情報源にしている。連載『週刊闇株新聞』では、ダイヤモンド社グループの有料メルマガ・DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)『闇株新聞プレミアム』で配信しているディープな闇株的考察のダイジェストや「闇から暴く相場の真実」というスタンスのもと株、為替、日本国債、世界経済の今後などについて解説していきます。

SB孫正義氏の後継候補、アローラ氏が突然の退任!
その裏にアリババ株を巡るインサイダー取引疑惑!?闇株新聞が追及する企業の闇

 2015年5月、ソフトバンク孫正義社長が「自らの後継候補」として招いたニケシュ・アローラ副社長が、先月行われた定時株主総会で同社を去ることが決まりました。事前に会社側から提案されていた再任案が、前日に取り下げられる形でかなりバタバタと決まった印象です。いったい何があったのか!? 海外メディアは米証券取引委員会がアローラ氏の捜査を開始したと報じており、ソフトバンクにも疑惑の目が向けられていますが、日本の大マスコミはほとんど取り上げていません。プロも愛読する刺激的な金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」が、その真相を追いかけます。

株主総会での再任案取り下げ
任期満了で円満退社を強調も…

 ソフトバンク(9984)は6月21日の定時株主総会の前日に、議題に上程されていた同社の実質No.2、ニケシュ・アローラ氏の再任案を取り下げました。アローラ氏と言えば2015年6月に孫正義社長が自らの“後継者筆頭”として、米グーグルからスカウトしてきた人物。

 当時は破格すぎる役員報酬165億円が話題になりましたが、わずか1年で退任になってしまいました。形式上は任期満了(全員が任期1年)で再任されずとなり、総会では孫社長もアローラ氏も「円満退社」を強調していました。

 一応、退任の理由として「引退を考えていた孫社長があと10年くらい社長を続けたくなったため、アローラ氏ほどの人物をNo2で待たせておくことができない」というものですが、もちろんそんな単純なものではありません。

 実はアローラ氏は現在も大手プライベート・エクイティ・ファンド、シルバーレイクのシニアアドバイザーとして報酬を得ているのですが、そこに重大な利益相反あるいはインサイダー取引の疑い、さらには氏の過去の不適切な行為に関して内部調査や取締役解任を求める複数の書簡がソフトバンク取締役会に寄せられていたのです。

 シルバーレイクは2013年に米パソコン大手デルのマイケル・デル社長と組んで、総額249億ドルのLBO(対象企業の資産を担保とした借入による買収)を仕上げています。また2015年10月にはデルによる、ストレージ機器大手EMCの670億ドルもの買収もまとめています。

 アローラ氏が利益相反を疑われる可能性があることを認識していなかったはずがなく、明らかに常識はずれの高給を払ってくれるソフトバンクや孫正義社長を軽んじていたことになります。

 これに対しソフトバンク取締役会は、独立取締役や法律顧問からなる特別調査委員会を立ち上げて調査していたようですが、定時株主総会の前々日に「評価に値しない」と調査を完了させていました。

 特別調査委員会がこう結論付けるのは恐らくは始めから決まっており、孫社長が常識外れの高給でスカウトしてしまった自らの重大な判断ミスを、自ら引導を渡すことで幕引きを図った――というのが真相と思われました。

米証券取引委員会が捜査を開始
疑惑はアリババ株売却に絡む事案か

 ところが、事態はそれほど単純でもなかったようです。6月30日になり米国の複数のメディアが一斉に「米証券取引委員会(SEC)が退任したニケシュ・アローラ氏の在任中の“行為”に関して捜査に乗り出した」と 報じたのです。

 もちろんソフトバンクも調査対象になっているようですが、それに関するソフトバンクからのIRはなく、日本のメディアが突っ込んで取材することもなく(巨額の宣伝費を使ってくれるため)、詳細は深い闇に隠されたままですが尋常でないことだけはわかります。

 米証券取引委員会はめったなことで日本企業であるソフトバンクを調査することなどないはずで、そもそも日本における調査権がないため日本の捜査機関(証券取引等監視委員会しかなさそうですが)に依頼することしかできないはずです。

 ソフトバンクは最近、32.2%を保有していた中国ネット大手アリババの株式の一部を売却しました。その内訳はアリババの自社株買いやシンガポール政府所有の投資会社テマセクに34億ドルを売却、残る66億ドルは他社転換社債(EB債)の担保に提供して100億ドル(=約1兆円)を現金化するというものです。

 ちなみにこの他社転換社債は期間が3年で、最後に現金で償還するか、アリババ株で償還するか、あるいはその組み合わせで償還するかを(投資家ではなく)ソフトバンクが選べる仕組みになっているようです。つまり、その時にアリババ株が上昇していればソフトバンクはアリババ株の代わりに現金を引き渡し、逆にアリババ株が下落していれば(発行時の株価で)含み損を抱えたままのアリババ株を引き渡すという「とんでもないシロモノ」です。

アローラ氏が在籍していただけで
巨額罰金の対象にされる可能性も

 話を元に戻しますと、アリババについては、その作業効率、顧客1人当たりの売買回転、決済サイトの処理能力などを精査すると公表取扱高(売上高)が大幅に水増しされていると囁かれており、実際にいくつかのヘッジファンドが大規模な空売りを仕掛けています。

 米証券取引委員会の調査対象は、このアリババ株式売却を巡るシルバーレイクとの利益相反あるいはインサイダー取引のようで、前者ならアローラ氏だけの問題ですが、後者なら1兆円を超えるソフトバンクの売却金額すべてが「米国政府による巨額罰金ビジネス」の対象になってしまいます。

 ここ数年の事例を見ていても、ソフトバンク自体に不正の認識がなくても関係者(アローラ氏)が社内にいただけで巨額罰金を課せられる可能性があります。つまりソフトバンクはまだまだたくさんの問題を抱えており、孫社長もアローラ氏に引導を渡しただけでは済まされず、簡単には引退できそうにありません。

 孫正義社長は「ソフトバンクを最低300年続くグループにする」とする中で後継者の育成を最重要課題に掲げ、2010年からは「ソフトバンクアカデミア」を設立するなどして取り組んできました。アローラ氏の後継者指名はそうした方針を事実上の御破算にしての電撃的なもので世間を驚かせましたが、その方針が1年で頓挫してしまったことになります。世界戦略に課題が山積する中で、巨額罰金を科せられる懸念も出てこの先どう展開していくのか――刺激的な金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」では、今後も同社の動向について注目していくことになりそうです。
 

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