112年ぶりに復活するリオ五輪のゴルフ競技に出場辞退者が続出している。
先週は日本が期待する松山英樹が辞退を表明したが、その前から各国の有力選手が相次いで辞退を申し出ていた。
リオ五輪で行われるゴルフ競技の出場者は男女とも60人。まず国際ゴルフ連盟(IGF)が定めた世界ランキング上位15人に出場権が与えられ(1ヵ国最大4人まで)、残りの45人は各国の世界ランク上位者(最大2人まで)が選ばれ出場する。つまり五輪という大舞台で行われる世界ランク上位者による世界一決定戦という設定だったのだが、肝心の世界ランク上位者が続々と辞退しているのである。
ジカ熱?過密日程?
男子選手ばかりがなぜ――
とくに男子は7月11日時点で12人の辞退が明らかになっている。ランク上位からあげると、1位のジェイソン・デイ(オーストラリア)、4位のロリー・マキロイ(北アイルランド)、8位のアダム・スコット(オーストラリア)、9位のダニー・ウィレット(イングランド)、10位のブランデン・グレース(南アフリカ)、14位のルイ・ウーストハイゼン(南アフリカ)、17位の松山英樹、22位のチャール・シュワルツェル(南アフリカ)、26位のシェーン・ローリー(アイルランド)、44位のマーク・レイシュマン(オーストラリア)、78位のグレアム・マクドウェル(北アイルランド)、115位のビジェイ・シン(フィジー)だ。
世界ランク2位で今季のPGAツアー賞金ランク1位のダスティン・ジョンソンやランク3位のジョーダン・スピース、5位のバッバ・ワトソンなどのアメリカ勢は出場を予定しているから、高いレベルでのメダル争いは期待できるが、各国のトップが世界一を競うという五輪らしさは薄れそうなのだ。
これら辞退者の多くが、その理由としてあげているのがジカ熱感染のリスクと治安への懸念だ。ジカ熱は蚊が媒介する感染症で昨年から今年にかけて中南米で流行した。ジカウィルスに感染した女性が妊娠すると、子どもが小頭症などの障害を持って生まれる可能性があるという。ブラジルでもそうした症例が数多くあった。
ゴルフは屋外、それも蚊がたくさんいそうな草や木立の中でプレーする。そして実際、プレー中に刺されることも多い。男性がジカウィルスに感染しても軽い発熱や頭痛などがある程度で重症化することはないようだが、そのウイルスが家族や周囲の人に感染する可能性はあるわけで、そのリスクを避けたい気持ちは分らないこともない。しかし、より直接的なリスクがある女子の辞退者は今のところ世界ランク38位のリーアン・ペース(南アフリカ)だけで、ほとんどの選手が予定通り出場する。「ジカ熱」は辞退のための方便と取られても仕方がない。