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日本に巣食う「学歴病」の正体

「学歴ルサンチマン社員」が暴れ出しかねない日本企業の死角

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第27回】 2016年7月19日
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 今回も前回に引き続き、主に戦略、組織変革、リーダーシップなどを社会人に対して教える、中央大学大学院教授の磯村和人さん(51)に取材を行った際のやりとりを紹介しながら、「学歴」について考えたい。

 磯村さんは高校に進学することなく、大検(大学入学資格検定試験)を経て京都大学に進んだ。その後大学院博士課程に進み、研究者としての人生を歩んできた。これまでの稀有な経験を通じて、学歴やその価値、さらに会社員などのキャリア形成や人事のあり方などについて研究をする。

 磯村さんは、「日本企業では、キャリア形成において社員間で差がつきやすく、それに不満を持った人の一部が、はるか以前に身につけた学歴を持ち出す傾向があること」を指摘する。そして、「学歴にルサンチマン(根強い恨み)を持つ人が暴れないようにすることが必要」とも説く。

 読者諸氏は、前回、今回の2人のやりとりから何を感じるだろうか。


本人は「負けていない」と思っても
周囲から見るとやっぱり負けている

日本企業には、自分の処遇に納得できない「学歴ルサンチマン社員」が暴れ出さない仕組みづくりが必要だ

筆者 日本企業では、一定の学歴を身につけていても、思い描いたように就職できなかったり、職場で活躍できなかったりする人が多いように感じます。本人は「負けていない」と思っているのかもしれませんが、私にはやはり競争に負けた人に見えます。そうした人たちは、キャリア形成でうまくいっている人を羨ましく見ているのだろうな、とも思います。

磯村 ある年齢になると、「こんなはずではなかった」と悔やんでいるのかも
しれませんね。

 日本企業の傾向として、人材育成をしていく際の体系的なサポートが十分には機能していないことがあります。結局、キャリア形成が本人に任されているのです。だからこそ、差がつきやすいと言えます。

 ビジネススクールなどに通い、知識を獲得し、それを今後に生かそうとする、意識の高い会社員もいます。たとえば私が知る学生は、会社員として経理・財務の仕事をしていますが、ビジネススクールに通うことでそれらの知識を棚卸ししたいと話していました。

 しかし、そのような会社員が増えているというわけではありません。まだ、自らのキャリアについて真剣に考える人が少ないのかもしれませんね。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


日本に巣食う「学歴病」の正体

 今の日本には、「学歴」を基に個人を評価することが「時代遅れ」という風潮がある。しかし、表には出にくくなっても、他者の学歴に対する興味や差別意識、自分の学歴に対する優越感、劣等感などは、今も昔も変わらずに人々の中に根付いている。

たとえば日本企業の中には、採用において人事が学生に学歴を聞かない、社員の配属、人事評価、昇格、あるいは左遷や降格に際しては仕事における個人の能力や成果のみを参考にする、という考え方が広まっている。しかし実際には、学歴によって選別しているとしか思えない不当な人事はまだまだ多く、学閥のようなコミュニティもいまだに根強く存在する。学歴が表向きに語られなくなったことで、「何を基準に人を判断すればいいのか」「自分は何を基準に判断されているのか」がわかりずらくなり、戸惑いも生まれている。こうした状況は、時として、人間関係における閉塞感やトラブルを招くこともある。

 これまでの取材で筆者は、学歴に関する実に多くのビジネスパーソンの悲喜こもごもを見て来た。学歴に翻弄される彼らの姿は、まるで「学歴病」に憑りつかれているようだった。学歴は「古くて新しい問題」なのだ。本連載では、そうした「学歴病」の正体を検証しながら、これからの時代に我々が意識すべき価値基準の在り方を考える。

「日本に巣食う「学歴病」の正体」

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