ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
ビッグデータで解明!「物件選び」の新常識

マンション住人の「修繕積立金負担」が吊り上げられる裏事情

沖有人 [スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント]
【第26回】 2016年7月21日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage
マンション住人の中には、修繕積立金の負担が高いと感じたことはないだろうか。必要以上に行なわれるマンションの大規模修繕や管理組合が負担する高額なコストの背景には、不動産業界の悪しき慣習が横たわっている(写真と本文は関係ありません)

前回に引き続き、「管理費」「修繕積立金」などのマンションにかかるコストを合理化するための方策を考えて行こう。今回は、「修繕積立金不足」に焦点を当てる。

 修繕積立金の適正化は管理費よりも難易度が高い。修繕工事の必要性、相場、業者談合の手口、発注方法など、専門的な知識と業務経験が不可欠となる。ここでも、難しいことを自分でやる必要はない。最終的に管理組合は、委託するパートナーを選ぶのが主たる仕事となる。その前提として、日本で一番わかりやすくこの問題の本質を理解できるように書こうと思う。

意外と知らない高負担
大規模修繕工事の相場

 マンションでは、大規模修繕工事が長期修繕計画書に概算価格で想定されている。1回目の設備工事を伴わない大規模修繕工事で、1戸当たり100~150万円で計画されているケースが多い。その相場価格は、おおむね床面積1平方メートルあたり1.2万円が目安だ。

 つまり、マンションの平均専有面積が70平方メートルだとすると、70平方メートル×1.2万円=84万円/戸となる。実際に工事をする際には、しっかりと要件定義をして、競争原理を徹底し、厳しく見積もりを取っていくと、コストが2割、3割と下がる計算になる。

 総額は戸当たり単価に戸数をかけ合わせて、100世帯であれば84万円×100戸=8400万円となる。何事にも相場はあるので、ベンチマークにして精査することが必要になるが、これが意外に簡単ではない。業者に談合されたら、相場はうまいことつり上げられてしまうからである。

 分譲マンションの大規模修繕工事計画の平均周期は12年だ。これは国交省のガイドラインの設定であるが、賃貸マンションでは20年が大規模修繕工事の周期となっている統計が公表されている。分譲はやたらと工事をやりたがる傾向があり、賃貸は自分が住まないオーナーが先送りする傾向があるため、実際に適正な期間はと言うと、15~16年くらいを目安にしておくとよい。

 そもそも12年の計画を15年にしたりすると、「大規模修繕工事をやらなければ、建物の資産価値が落ちる」と言われることがあるが、鵜呑みにしないことが大切だ。大規模修繕工事をやったからといって、マンションの売買価格が上がるわけではない。そんな事例があるのなら、出してもらうといいだろう。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

沖有人(おき・ゆうじん) [スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント]

1988年、慶應義塾大学経済学部卒業後、2社を経て、1998年、現スタイルアクト株式会社を設立。マンション購入・売却者向けの「住まいサーフィン」は17万人以上の会員を擁する。「タワーマンション節税」などの不動産を使った節税の実践コンサルティングに定評があり、不動産分野でのベストセラー作家として講演・寄稿・取材・テレビ出演多数。主な著書に『マンションは10年で買い替えなさい』(朝日新書、2012年)、『マンションを今すぐ買いなさい』(ダイヤモンド社、2013年)、『タワーマンション節税! 相続対策は東京の不動産でやりなさい』(朝日新書、2014年)など。


ビッグデータで解明!「物件選び」の新常識

不動産は個人資産の半分を占めるにもかかわらず、プロとの情報格差が大きい。この情報格差を少しでも解消できれば、個人はもっと多角的な視点から「よい物件」を選ぶことができ、将来を見据えた資産形成が可能となる。「自宅投資」「資産インフレ予測」「タワーマンション節税」などをメディアで提唱し、新たなムーブメントを起こしてきたスタイルアクト株式会社の沖有人代表取締役が、これまで蓄積した「不動産ビッグデータ」を基に、住宅の選び方に関する「新しい常識」を徹底指南する。スタイルアクトが自宅を投資になぞらえて情報提供している「住まいサーフィン」では、17万人の会員のうち、自宅査定ツールで7割が含み益を出していることから、資産形成した人数は12万人相当と想定される。株や投資信託のように学習することで、プロ顔負けの資産形成ができる手法はある。沖社長が次に提示する不動産の秘策は、これまで同様「早い者勝ち」となるかもしれない。

「ビッグデータで解明!「物件選び」の新常識」

⇒バックナンバー一覧