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社長!事件です イザという時に思考停止しないための「危機管理」鉄則集

絶対消去できない情報がWinnyでネットに流出
個人情報や機密情報が一瞬にして丸裸に!
この難局をどう乗り切るか?

小川真人 [ACEコンサルティング株式会社 代表],白井邦芳 [ACEコンサルティング株式会社 エグゼクティブ・アドバイザー]
【第11回】 2010年10月13日
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それは突然発生する!

 「これはとんでもなく厄介なものが流出したな!」。内閣官房情報セキュリティセンターの職員が、あるデータをファイル交換ソフトWinnyのネットワーク上で発見して、思わず大きな声を出した。周囲の職員もモニターを覗き込んで、今後想定される事態を想像しながら困り顔になった。「これはマスコミも騒ぐだろうな」。上席が唸りながら、あるところに電話を入れていた。

 内閣官房情報セキュリティセンター、略称NISCから緊急の連絡を受けた金融庁は、監督下の金融機関に不祥事が発生したことを知り、直ちに対応の検討を開始した。

 NISCによれば、Winnyのネットワーク上で閲覧可能になっているファイルは、C銀行の取引先である企業に関する詳細な与信情報データ、さらに厄介なことは、ある行員の私生活に関わる猥褻な写真や個人情報が多数含まれていたことだった。ほぼ間違いなく、当該行員の管理下にあるパソコンが不正なウィルスに感染し、流出したものと思われた。

 誰かがこのファイルに気づき、2ちゃんねる等のサイトにファイル名等を公開した瞬間、このファイルは世間の多くの目に触れることになるだろう。現時点でのWinnyの利用者は約50万人前後、NISCのスタッフが厄介なことになると思ったのも当然のことだろう。

流出したときには既に手遅れ

 かつてWinnyのネットワーク内で防衛庁の機密情報が流出し、国防に関わる大問題となったことがあったが、その際にも閲覧可能となった情報を消去することはできなかった。Winnyネットワーク内で一度閲覧可能となった情報は、どのような方法をもってしても消去できないことこそが、問題の最も困難な部分なのである。

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小川真人(おがわまひと) [ACEコンサルティング株式会社 代表]

公認会計士、公認不正検査士、日本法科学技術学会正会員。慶応義塾大学商学部卒業後、1986年、ピートマーウィックミッチェル会計士事務所(現在のKPMGあずさ監査法人)に入所し、会計監査・リスクマネージメント業務に幅広く従事。2003年より2008年まで、(株)KPMG FASにて日本における不正調査サービスの責任者(パートナー)として、不正会計調査、経営者不正調査、従業員不正調査、個人情報流出事件調査など、多様な不正調査やリスクマネージメント業務を提供。2008年4月より、ACEコンサルティングを設立して独立。

白井邦芳(しらい くによし) [ACEコンサルティング株式会社 エグゼクティブ・アドバイザー]

AIU保険会社及びAIGグループ在籍時に数度の米国研修・滞在を経て、企業の危機・不祥事・再生に関するコンサルティングに多数関わる。2350事例にのぼる着手案件数は業界屈指。2009年から現職。リスクマネジメント協会評議員、日本法科学技術学会正会員、経営戦略研究所外部専門委員、著書に「ケーススタディ 企業の危機管理コンサルティング」(中央経済社)等がある。


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海外で発生するテロや暴動そして天災、果ては脅迫から社内の権力闘争の暴露まで。現代の企業はまさにリスク取り囲まれて活動している。ことは生命にかかわることが多いにもかかわらず、依然として、日本企業はこの種のリスクには鈍感。イザというときに、じたばたしないためには、準備こそがすべて。具体的な事例を基に危機管理の鉄則を公開する。

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